WJ系
□僕と彼の最初の話
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リクオはそっと眠ったままの片割れに擦り寄った。
「早く、会いたいな・・・」
その目はどんな色をしているのだろうか。
どんな声で話すのだろうか。
自分以上にいたずら好きなのだろうか。
同じような癖を持っているのだろうか。
今はどんな夢を見ているのだろうか。
聞きたい事はたくさんある。
言いたいこともたくさんある。
いたずらをしてみんなによく怒られること。
それでもみんな優しくしてくれること。
クラスで背は低い方だけど、足は速いこと。
幼馴染のカナちゃんは妖怪が苦手だということ。
だから、カナちゃんには何も話してないということ。
お母さんの料理はおいしいから食べさせたい。
おじいちゃんはカッコいいから、おじいちゃんの若い時の話を一緒に聞きたい。
お父さんは写真しか残ってないけど、生きていた時はいつもおんぶしてたよ。
言いたいことも伝えたいことも。
起きたら全部話したい。
「たくさん。たくさん。話たいんだ。」
だから、早くその目を開けて。
名前を呼んで。
「リクオ・・・」
「みんな待ってるんだよ・・・」
そう言ったら、握っていた手を握り締め返せれたような気はした。
それが嬉しくって。
リクオはより一層、ひっついた。
「あ!ずるいわ、リクオ。お母さんだって!」
「わあぁ!」
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