WJ系
□愛してとは言わない
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「失礼しま・・・若菜さま!!!」
「え?おはようございます。」
「布団は私が上げますから!」
「これくらいは大丈夫ですよ。「お腹の子に何かあれば大変ですから」
朝起こしにきてくれた毛倡妓は自分で布団を上げている若菜から布団を奪い取った。
『お腹の子に』
その言葉で若菜は動けなくなった。
立ったまま動かない若菜を不審に思った毛倡妓は声をかける。
「若菜さま?」
「え?あ・・・何もないわ。それより、朝ご飯の用意しないと・・・」
「大丈夫ですよ。私らがやってますので」
「でも・・・私は鯉伴さんの・・・」
「いいんですよ。若菜さんはゆっくりしてください。」
さ、と促されて若菜は部屋を出る。
朝の光が眩しい。
今までなら学校に行く用意をしていたかもしれにない。
鯉伴の子を身篭ったと分かった日から若菜はこの奴良家に引き取られていた。
まるで、子供を生ませる為だけに連れてこられたような。
(間違ってないのかもしれない・・・)
子供がいると分かってから若菜は鯉伴に朝と昼しか会っていない。
夜は総会だので忙しくしている。
だから、家事だけは手伝おうと毛倡妓を申し出ても『二代目が何もしないくてもいいと言ってますので、気にしないで』と言われてしまう。
私はなんのためにここにいるのだろう。
すごく不安になってくる。
(家に帰りたい・・・お母さんに会いたい。)
「二代目おはようございます。」
「おう。若菜、ちゃんと寝れたか?」
大広間に行けば、幹部と夫である鯉伴が出迎えてくれた。
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