WJ系

□駄菓子屋での逢瀬
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それを聞かれてないと思ったのか、少女はもう一度鯉伴の着物のそで引いた。


「お兄ちゃん・・・」

「あ。すまねぇな。聞いてたぞ。お金な、お金は・・・」

「ないの?」

「え?」


ない。

出かけるのにお金なんて持って歩いた記憶がない。

鯉伴は素直に頷いた。

すると少女はランドセルから小さな小銭入れを取り出すと百円を4枚取り出して、鯉伴の手に乗せた。


「これで買えるよ。」

「でも。これはお前の金だろ?受け取れねぇ。」

「お兄ちゃんはそのお菓子が欲しいんでしょ?だから、貸してあげるね。」

「・・・いいのか?」

「うん。困ってるんでしょ?」


ね?と言われれば頷いた。

鯉伴はそのお金を持って番台にいき、4枚置いて帰ってきた。

いい大人が小学生の子にお金を借りてまでお菓子を買うなんて、なんて間抜けな図なんだろうと思うと、幹部に見られなくってよかったと思った。


「すまねぇな。」

「ううん。いいの。」

(可愛い。持って帰りたいが・・・連れて帰ったら中々帰えしてやれねぇな)


そうだ。名前を聞いておこう。


「そうだ、お前。名前は?」

「若菜っていうんだ。お兄ちゃんは?」

「奴良組の二代目奴良鯉伴だ。」

「鯉伴お兄ちゃん?」


あぁ、なんてお兄ちゃんって響きはいいのだろう。

この子しかいない気がする。

ピンっときているのではないだろうか。


「若菜、将来はお兄ちゃんと結婚するぞ」

「え?うん。いいよ」


と、そんなこんなで勢いだけで鯉伴は若菜との結婚を決めたのだったりする。




END
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