WJ系
□駄菓子屋での逢瀬
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約二百年も恋人はできなかった。
いまいち、ピンっと来なかっただけだ。
決して、情緒欠落だの変態だのではないのだ。
それは違う。
「はぁ〜・・・」
適当な女はいるので困ったことはない。
けど。
(心休めまるって場所も欲しいもんだ・・・)
笑顔で出迎えてくれる人が欲しい。
そんな悩みを持つ奴良組の二代目奴良鯉伴は近所の駄菓子屋にいた。
小学生でちょっとは賑わっている店内にそろりと入り、菓子を数個拝借して帰る。
ここ最近の鯉伴の日課でもあった。
今日も、番台で寝ているのか起きているのかわからない老婆の目の前で菓子を懐に入れて、いつもと同じように帰ろうと踵を返した。
ときだった。
ぐいっと後ろに引かれた。
「なんだ?」
「・・・」
引いたのは赤いランドセルを背負っている小学生の女の子だった。
髪は柔らかそうな茶色で目はくりくりしている。
ほんのり、赤い頬は甘そうでもあった。
(うわ・・・)
「あのっ」
「な・・・なんでぇ?」
「お金払ってませんよね?」
「へ?」
「お菓子のお金・・・払わないとダメなんだよ?」
こてんっと首をかしげながらも注意された。
はっきり言う。
可愛い。
鯉伴はあまりの可愛いさにぽけっとしてしまった。
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