WJ系
□一方的すぎる片思い
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ふっと目を開けると車はまだ走っていた。
窓にシートが張ってあるので外の様子はあまり見えない。
「あれ?・・・僕寝てた?」
「あぁ。起きたのか。」
「玉章さん?あの・・・ここは・・・」
「どこだろうね?」
「どこって。僕は家に・・・」
じゃらっ
「え?」
金属が擦れたような音がして、リクオは自分の体を見た。
首には冷たい首輪に手は手錠で拘束されている。
足もがっちりと皮でまとめられていた。
「な・・・なにこれ」
「所謂、誘拐と言う奴だね。言われなかったのかい?怪しい奴には付いて行くなって・・・そうだね。君の中の妖怪の君に」
「それ・・・知って・・・」
「どうかな?」
にっこりといつもの生徒会長スマイルで答える。
彼の中の妖怪の部分と人間の部分が別れているのは知っている。
それを知られているのに驚いたのかリクオは目を見開いている。
「・・・はなしてください」
「いやだ」
「はな・・・して」
「僕は、考えたんだ。」
「やだ・・・」
まだ、何も言っていないのに。
目を瞑って体を硬くしているから、きっと妖怪の彼に助けを求めているのだろう。
無駄なのに。
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