WJ系
□相容れない
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「お帰りなさいませ。若」
「お荷物お持ちしますよ、若」
「頼む」
「「え?」」
いつもなら、『いいよ、これくらい自分でするから』と断るのに。
無造作に投げられた鞄を見て下の妖怪たちは戸惑った。
「どうした?部屋まで運んでおいてよ」
「は・・・はい」
「そうだ。じいちゃん居るかな?」
「はい。まだ、縁側でお茶を」
それだけ、聞いてリクオは縁側に向かった。
足音を立てずにぬらりひょんの元へ向かう。
暢気にお茶を飲んでいる姿を発見して、リクオはそっと肩に手を置いた。
「じいちゃん」
「なんじゃい。リクオか」
「あのね。僕、やっぱり組みは継がない」
「は?」
「やっぱり、妖怪は嫌いだから。頼むんなら僕じゃなくって、夜の僕に頼んでよ。ね?」
急すぎて反応が遅くなったぬらりひょんに笑みで答えてリクオはその場から去っていった。
つい最近は夜も昼も意識が同じになったと聞いていたのに。
急にどうしたのだ?
「・・・それにしても・・・」
雰囲気がリクオであってリクオではないような気がする。
「何があったのじゃ?」
「どうしました?」
「いや・・・ちょっとな」
きっと気のせいで、さっきのも気まぐれだろう。
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