WJ系

□相容れない
1ページ/5ページ


「リクオ君。今日も部活あるみたいだけど、どうする?」

「行かない」

「そうなの?」

「じゃ。」

「うん」


いつもなら、自分の当番でもない掃除や草むしりをするのに。

カナは朝から少し、様子のおかしいリクオを見送った。

返事はそっけない、どこか違うところを見ているような。


「今日のリクオ君変だよね。」

「そうかな?」

「ま、カナが言うんだから、幼馴染の勘って奴でしょ?」

「そんなんじゃ、ないんだけど・・・」


そんなんではなく。

もっと単純に。


「今日のリクオ君はリクオ君じゃないかったと思う。」


そう。

今日、学校に来ていたのは『リクオ』の皮を被った誰かだとしか思えなかった。

それぐらい、普段の彼とは違ったのだった。


「何それ」

「おーい。家長くんら、始めるぞ」

「はいはーい。行くよ、カナ」

「うん」


門を出て行くリクオの後ろ姿を不思議そうに見てから、今日はきっと熱があったんだと自分を納得させた。










次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ