WJ系
□相容れない
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「リクオ君。今日も部活あるみたいだけど、どうする?」
「行かない」
「そうなの?」
「じゃ。」
「うん」
いつもなら、自分の当番でもない掃除や草むしりをするのに。
カナは朝から少し、様子のおかしいリクオを見送った。
返事はそっけない、どこか違うところを見ているような。
「今日のリクオ君変だよね。」
「そうかな?」
「ま、カナが言うんだから、幼馴染の勘って奴でしょ?」
「そんなんじゃ、ないんだけど・・・」
そんなんではなく。
もっと単純に。
「今日のリクオ君はリクオ君じゃないかったと思う。」
そう。
今日、学校に来ていたのは『リクオ』の皮を被った誰かだとしか思えなかった。
それぐらい、普段の彼とは違ったのだった。
「何それ」
「おーい。家長くんら、始めるぞ」
「はいはーい。行くよ、カナ」
「うん」
門を出て行くリクオの後ろ姿を不思議そうに見てから、今日はきっと熱があったんだと自分を納得させた。
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