WJ系

□障子に耳あり壁に目あり
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部屋でぐっすり寝ているリクオを見て、幸せそうに笑う。

自分もとことん物好きだ。

そっと髪と撫でると、擦り寄ってくる。

キスしたくなる。


「・・・・」


だめだ。

本当にしたら、止まらなくなる。

若はリクオから体を離すと、部屋を出た。

これ以上は目に毒だ。

いつかは取り返しの付かないことになりそうだ。


「あら、若。お目覚めですか?」

「ん?あぁ。酒貰うぞ。」

「あ〜。最近飲みすぎですよ。」

「うるさい。」

「もう!!!」


つららの持っていた酒をするっと手に持つとのらりくらりと離れた。

本家の妖怪は朝から起きている者も少なくないのでうるさいが、夜の方が断然にうるさい。

そんな中でもよく寝れるな、と若は感心したりもした。

誰も来ないような場所に座り、酒を飲んだ。


「・・・」

「こーらっ!」

「うわっ!何すん・・・お袋?」

「未成年でしょ?ダメよ」

「ちっ」

「ちっ、じゃありません。」


手に持った酒を奪われて、そっぽを向いた。

そんな息子の隣に腰を降ろし若菜は笑った。


「なんだよ。」

「何か、悩み事があるんでしょ?」

「うっ・・・」

「あの人もよく悩んだりしたら、お酒飲んでたわ。でね、二日酔いで苦しんでたわ。あなたもそうなるわよ。」

「・・・」


あの人とはどうせ父親だろう。

若はしばらく考えてから口を開いた。


「・・・・好きな奴が近くにいて手
ェだせねぇのが、つれぇ。」

「うん。」

「毎日一緒にいんのにさ。」

「それってリクオのことでしょ?」

「な、!!!べっ・・・別にちがっ」

「照れない。照れない。」

「照れてねぇよ!!!」







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