WJ系

□形見の着物
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リクオを見て目を見開くがすぐに若菜へと向けた。

やはり、何かトラウマのようなものがあるのかもしれない。


「酒はどこかのう。切れてしもうてな。」

「あら、もうですか。それより、お義父さん。どうですか?似合ってません?」

「・・・・うむ。そうじゃな。倅にそっくりじゃな。それにしてもその着物ずいぶんと古いがまだあったんじゃな。」

「いつかリクオに着さそうと思って、ちょっと手直ししてたんですよ。」

「そうか。」

「いいのかよ。オレが着ても」


やっぱり気になる。

リクオをまじまじと見て、やっぱり似合うのうと笑った。


「好きにせい。お前の親父のじゃ」

「じじい・・・」

「フフッ。それじゃ、お酒の用意しましょうか?」

「頼もうかのう。」

「じゃ、私は用意してきますね。」


と、二人残して母は台所に消えた。

残されたリクオとぬらりひょんはしばらくは無言だった。


「よく、こんなの残ってたな。若菜さんもよくしてくれてる。」

「なんか、気恥ずかしい。」

「それは二代目の着物じゃ。それに負けんようにしんとな。薄れるぞ、三代目候補が。」

「うるせぇな。絶対に継いでやるよ。」


父さんの分まで頑張るんだ。

無意識のうちに着物の裾を握っていた。


(まだまだ、子供だのう)

「用意できましたよ〜」

「すまんのう。リクオ」

「?」

「付き合え」

「潰れてもしらねぇぞ」

なめるなと祖父が笑えばすぐに世代交代だと笑う。


「若菜さんも付き合ってくれんかのう」

「いいんですか?」


家族水入らずもたまにはいいだろう。










「あら?お義父さんもリクオも弱いわね」


周りには一升瓶が10本も転がっておりそこに倒れるようにぬらりひょんとリクオが潰れていた。

若菜はやれやれとため息をついた。


「私はまだまだ、平気なのに」


と、若菜は杯を傾けた。






きっと奴良組で一番の豪酒は若菜だと思う。








END
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