WJ系

□形見の着物
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「ん〜、これなんかどう?まだ古い感じはしないわね」

「・・・・」

「コレもいいわね。どうせなら全部持っていく?」

「おい、」


そこでようやく若菜は押入れから着物を引っ張りだす作業をやめた。

リクオは不機嫌になりながらも着物を脱いで丁重にたたむ。

それを若菜に返す。

こんなことになったのは妖怪になったリクオでは普段着ている着物は小さいと言うことで母が『じゃ、お父さんの着たら?」と着ることになった。


「これは親父のだろ。着れねぇ。」

「どうして、似合ってるのに。」

「形見だろ?いいのか」

「私と鯉伴さんの子よ?いいのよ。」

「でも、「いいの。着なさい。こんな良い着物置いてるのが可哀相だわ」


と強引に着せていく、自分の父親の着物を着る日が来るなんて思ってもいなかった。

いつも大きくって追いつかないと思っていた。

それに記憶もあまりないのに。

それでもやっぱり『父親』は大きい存在だった。


「でも、びっくりしたわ。妖怪になっちゃうなんて」

「怖いとか。思うか?」

「どうしえて?私の可愛いリクオじゃない。」

「・・・」


この母親だけはどうも苦手だ。

天然で息子の自分ですら、何を考えているのか分からない。

なにやら自分好みの着物を着せれて嬉しいのか出来たわよ。と言われて鏡を見る。

そこにいたのは自分だった。


「・・・」

「いいんじゃないの?どう思う?」

「そうか?いいと思うが」

「そう、気にいった「若菜さんや、あ。」


ガラリと襖を開けて祖父のぬらりひょんが顔を出した。









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