WJ系
□僕と彼の最初の話
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奴良リクオは妖怪と人間のハーフだった。
自分の中には妖怪の血が少しだけ、流れているらしい。
母は人間で父は妖怪の総大将だ。
そして、双子の片割れは8年間眠ったままである。
リクオはじっと銀色の髪を見つめていた。
そっと触っては撫でたりしてみる。
自分と同じ年のはずなのに、大人のような顔立ちで純粋に憧れてしまう。
硬く閉じられた目をじっと見てみるけど、開きはしない。
そんな片割れの横で同じように横になって暖かい、自分よりも大きな手を握ってみる。
「あらあら。またべったり?お母さんも仲間に入れてくれないかしら?」
「いいよ。じゃ、お母さんはあっちね。」
「いやよ。こっちで二人ともぎゅってしたいもの。はい、ぎゅ〜っと」
洗濯を手にたまたま通りかかった母の若菜も同じように寝転んでリクオと目を閉じままの息子を抱きしめる。
「もう、苦しいよぉ」
「いいじゃない。リクオ」
ふふっと二人笑っている。
すると、少しだけ寝ているはずの片割れの指がかすかに動いたような気がした。
「早く、起きて。一緒に遊びたいな・・・」
「そうね。お母さんも会いたいな。起きたら遊びに行きましょうね。」
「うん!」
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