長編
□†第2章† フロナ街にて(1)
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「うわー、酷いですねぇ。何も残ってないですよ。みんな焦げてる」
リークス村の跡地に足を踏み入れる二人の男がいた。一人は眼鏡を掛け、物珍しそうに辺りを見回している。もう一人は短髪で、興味がないのか上の空である。
「この魔力はすごいですね。とても子供の成せる技じゃないですよ。是非とも研究したいぃぃ」
眼鏡の男は顔の前に拳を作り、体を震え上がらせている。
「フェザード先生、どう思います?」
「うぇ?何が」
「えぇ!?これですよ。何を見聞きしてんですか。研究家としてどうなんですか」
「あ゙ー…まあ想定の範囲内だしな。それに見た感じまだあのガキは魔法を使いこなせてない。研究意欲が湧くのはそれからだ。お前はまだケツが青い」
フェザードと呼ばれた短髪の男は懐から煙草を取り出しくわえた。
「でも僕としては魅力を感じずにはいられない。幼いにも関わらずどれほどの魔力を秘めているんだろう。自分に合った魔力でないと人は耐えられませんよ。それほどの器なのか……」
「気になるなら解明してみるか?」
「え?」
「この事件は隠蔽しよう。王には調査結果異常なしと伝える。不審に思ってもこんな辺鄙な村にもう使いは遣らないだろう。何せ研究家を使いにする程だ。王も招魔者は穏健派と読んでいるからそれ程気にしない。休戦協定の保険もあるしな。つまりガキは俺達のエサってこと。俺も解明に手伝ってやるよ。最近ヒマだし。まあこのまま大人しかったら期待ハズレだけどな」