諸々夢

□可愛がってケモノ
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彼曰わく、あたしの側は居心地が良いらしい。


それは言われたら結構嬉しい言葉にはなるのだが


長時間こうして膝枕をしっぱなしだと、流石にあたしの足は地震雷火事オヤジ。(あまりにも痺れたため意味不明)


いい加減退いてくれ。



「拷問?」


「なんのことだ」



とぼけているつもりもなく、本当にわかっていない彼は下からあたしを見上げてくる。


いつもならギョロリと開いている大きな三白眼が眠そうに細くなっていて


可愛いと思ってしまうあたしの負け。


膝枕は続行される。



「はいはい、なんでもありませんよ。好きなだけあたしの膝を犠牲になさってください」


「・・・」


「あたしの膝をタダで枕に出来るのは飛影ぐらいのものよ?」



他の野郎なら有料。しかも高額と言うところだ。


ツンツンに逆立った黒い髪は、撫でてみると見た目に反してフワフワとしている。猫のような毛並み。



「端から見たらおばあちゃんが猫を可愛がってるみたいに見えるのかしら?」


「・・・ふん、猫はこんなことはするまい」


「は?」



何をと聞くより先に


伸びてきたしなやかな腕があたしの頭を掴み


グッと下へと引っ張ってきた。



「んっ・・・」


「・・・もうしばらく黙っていろ。喋るな」



あたしから言葉を奪った唇を離し、そこから傍若無人な言葉を発すると


彼は再び小さな寝息を立てて眠りにつく。


ああもう、やっぱり可愛いなぁと


あたしは膝を生け贄に狂暴な獣を手に入れた。



終.


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