長編

□ランチタイム(五い+食満)
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※保育園パロ、ほぼ会話


「わぁ、へ―すけのハンバーグおいしそうだね」

「とうふハンバーグなのだ!かんちゃんにいっこあげる」

「いいの!?あ、じゃあおれのからあげとこうかんね」

「うん」

 他の園児より少し早くフォークとスプーンを卒業し最近箸で弁当を食べられるようになった勘右衛門と兵助は、背の低い長机に小さな椅子を並べて他の子同様に昼食を取っている。大人が口にすればおやつにも満たない量をぱくぱく美味しそうに食べる姿は愛らしく、この子達の担任である留三郎は見ているだけで心が和やかになるのを感じていた。行儀作法も実はしっかりしていて、お行儀がいいんだなと誉めると、艶々の頬をほんのり染めてもじもじしながら「おかーさんとれんしゅうしたの」と照れていた純真さには感動すら覚える。
 しかし今、女の子が可愛らしい恋の話や男の子が戦隊ヒーローの話をしている最中彼らが話している事はと言うと…

「へーすけしってる?こないだみんなでいったやきにくやで、『テレビみました』っていったらやすくなるんだって―」

「へぇ」

「あとあと、へ―すけんちにちかいとこのおみせでこどもふくのセールがこんしゅうずっとあるよ。おぼうしなくしちゃったんでしょ?」

「うん。トイペとせんざいかうついでによってみるのだ」

 …実に所帯じみている。これではまるきり主婦の茶飲み話ではないか。
 さらに会話を聞いていると、地元で有名な不良高校生が失恋したらしくずっと公園のブランコを占領していて迷惑だだの、ついに禁煙に成功した近所の家の旦那が煙草代分小遣いを減らされて嘆いていただの、しょうもない情報が次から次へ。

「ちょっとまえにいさくせんせ―がおひっこししたアパートのおおやさんにあったんだけど、せんせいがすんでたおへや、あたらしくすんだひとがみんなふうんなめにあうってこまってたんだ。だからテレビきょくよんだら?っていったらほんとによんじゃって、らいしゅうくるらしいんだよね。へーすけいっしょにみにいかない?」

「いく―。ふうんアパートおもしろそうなのだ!」

「やったぁ!あ、でも、いさくせんせーにはないしょだよ」

「うん、ないしょ!」

 それは果たして指切りげんまんまでして堅く誓い合うような事なのだろうか。
 りんごを頬張る無邪気な笑顔に空寒い思いがした留三郎であった…――


―――――――
突発ネタだったら雑にもなるわい!うわぁん!



 

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