NOVEL

□銀の指輪
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あの最後の戦いが終わって1年
僕はマリーと一緒に貧困などで困っている国へのボランティア活動をしている

最終戦によってアロウズの独裁による表面上の平和はなくなり、
やっと民衆は本当の平和のために動き始めた

最終戦以後、大きな戦争も紛争も起きなくなり、
CBもその役割が終わりトレミーのメンバーは各自自分の道を歩むために分かれた

そしてその時僕が選んだ道は僕がおかした罪を償うこと

本当はこの活動には僕だけが参加する予定だったんだけど結局マリーもついてきた
これに関しては少し複雑な気持ちになったけど、でもマリーにはマリーの選ぶ道がある
それに僕が口出ししちゃいけない


(あっ…もう木材がないや…)


僕は今、ボランティア活動の一環として学校を建てるのを手伝っている
とは言っても物資不足で作業はなかなかはかどらないし、プレハブの小さなものになるだろう
けど、それでもここに住む人たちの役立つものであることに変わりはない


「すいません。木材残ってないですか?」

今回の活動のリーダーをしている人に聞いた

「もうほとんどねぇな。だが支援物資が明日には隣街に届くらしい。それ使えばまだ作業は続けられる。」

「わかりました。じゃあ僕が取りに行きます。隣街に行くのも丸一日かかりますし」

「おう、ありがとな。じゃ、これ使え。」


僕はトラックの鍵を預かるとトラックの停めてある場所に向かった


「アレルヤ、どこ行くの?」

「マリー、隣の街に支援物資を取りに行くんだ。」

「じゃあ私も行くわ。1人じゃ大変でしょ?」

「ありがとう」

「ちょっと待ってて。準備をしてくるから」そう言って走り去るマリーの後ろ姿を僕は見た。


(「おい、アレルヤ」)

不意に僕の頭に響いた声、ハレルヤだ

(「支援物資取りに行くの俺にやらせろよ」)

その言葉に僕は驚く

(いいけど、なんで?)

この活動に参加することにハレルヤは納得はしていたが、
手伝うことはめんどくさいからと嫌がっていたはずだ

(「いや、…その…よ……」)

ハレルヤにしてはずいぶん歯切れが悪いな…

(「久しぶりに…、ソーマに…会いたくなってよ……」)

あぁ…なるほど…
主人格の僕はいつでもマリーと会うことができるけど
ハレルヤとソーマ・ピーリスはそうはいかない
僕たちが人格を交代をしないかぎり会えないのだ。


(いいよ。じゃあマリーにも言わないと)

(「それは俺が言うからいい」)

(そう…?じゃあハレルヤに変わるよ)



ハレルヤに変わったことで僕の意識はシャットアウトした




ハレルヤに渡していた意識が僕に戻る、感覚が戻っていく…



僕がいたのは廃墟となった建物の中

割れた窓から光が差しこんでいるところを見るとまた日中のようだ
粉々になったガラスの破片が赤や青など様々な色であることから
きっとこの窓はステンドグラスだったんだろう

それにたくさんのイスが並んでいて、これは…


「教会…?」

「アレルヤ…?」


不意に聞こえたマリーの声で僕は振り向く

「マリー、どうしたの!?その格好…」


真っ白なベールを被ったマリーがそこにいた


「私もよく…でもソーマが、……えぇ!?」

急にマリーが顔を赤く染めてぶつぶつと何か言い始める
きっとソーマ・ピーリスと話しをしているのだろう

(「どうだ?アレルヤ良い演出だろ」)

(ちょっとハレルヤ!!これは一体どういう…)

(「てめぇら2人ともちんたらしすぎなんだよ!!
せっかくお膳立てしてやったんだから最後までやれ」)


「あっ、アレルヤ!!…えっと…」

そう言うとマリーはうつむく、よく見ると耳が赤い
それを見たら僕も恥ずかしくなってうつむいた

(「なにうつむいてんだよ!!右のポケットを探してみろ!!」)

(右のポケット?)

僕はハレルヤに言われるままに右のポケットにてを突っ込んだ
すると小さな箱が入っていた

箱を開ける。っと………


「指輪…?」


銀色の指輪が入っていた
模様が彫ってあってさりげなく凝っている

(ハレルヤ…これは…?)

(「ここまでお膳立てしといてわかんねぇのかよ、てめぇは!!
指輪に教会といったら結婚式しかねぇだろ!!」)

「けっ…結婚…!!!?」

(「せっかくソーマも手伝ってくれたんだ、最後までやれ!!」)

「えっと…マリー!!」

「なっなに?アレルヤ…」

「これ…受け取って…くれるかな…」


僕は指輪が入った小箱ごとマリーの元に差し出した
顔が熱いことから今、僕の顔が赤くなっていることがわかる

恥ずかしくて、目が合わせられなくてまたうつむく
手に乗っていた小箱をマリーが取った


「ありがとう…」


顔を上げるとマリーは笑っていて僕もつられたように笑った



銀の指輪





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