「ルカは美人さんだなぁ…」
今日はマスターと二人っきりのティー・タイム。
二人っきりなんてマスターの家に来てから初めてのことだから、何を話せばいいかわからなくて黙々と紅茶を飲んでいたら、しんみりとマスターに言われた。
…美人?私が?
思ってもみなかったし、そこまで興味もなかったから少し面食らう。
「どうしてそう思うのか、是非聞かせてほしいわ」
「だって紅茶飲んでる様がもう似合うのなんの。羨ましい限りでございますよ」
「マスターは美人になりたいの?」
「そりゃもう!ま、逆立ちしても無理だろうけどね〜」
ふう、と溜め息を1つ吐いてマスターは紅茶をずず、と飲む。
「マスターは可愛らしいわ」
「そんなことないって。レンに可愛げがない!って言われたぐらいだもん。あのツンデレンめ」
レンがツンデレンかはともかくとして、私に言わせればマスターなんて可愛いの塊のような人なのだけれどどうやらマスターはそうは思わないみたい。
この間には男共がマスターの可愛さを語りながらも互いに牽制し合ってるのを見たところだし(まぐろとタコで強制解散してあげたわ)、女の子は女の子でマスターにべた惚れしてるもの。
マスターが知らないだけで、マスターはこんなにも可愛い。
「ねえねえ!今度一緒に買い物にいかない?」
さっきまでのしょんぼりとした顔はどこへやら、今度は目をキラキラと輝かせてマスターはそう言い放った。
面白い人。
「いいけど、どうして?」
「ルカはこっちに来たばかりだから、服とか色々見繕わなきゃ。それに…」
カップを置いて、今度はこちらを窺うような目。
くるくるとよく変わる表情に、これでどうして可愛げがないと言えたものかしら。
「似合わないってわかってるけど、ルカとお揃いのもの、ほしいなぁって……ダメ、かな」
「…いいえ。私もマスターとお揃い、すごく嬉しいもの」
よかった!と満面の笑みを浮かべていつの日に行こうかとか何を買おうか話しだすマスターを見て、くすりと笑みが零れた。
みんな、ごめんなさいね。
王手をかけるのは私
(マスターの笑ってる顔好きだわ)
(私もルカの笑ってる顔大好き!)