気ままに戯文

基本連載主。名前はデフォ固定
◆スザク+主人公 

♭ 照れ隠し


「ねえ、好きってさ、改まると言いにくいよね」


夕日の差し込む寝室、クラウスが読者をしながらぽつりと言った。

「そうかなあ」いつでもストレートな愛情表現をしているつもりのスザクとしては、特にそういう気恥ずかしさは無い。

しかし、クラウスは最近、周囲のからかいを受け人前でスザクとむつみ合う事に抵抗を示すようになった。

スザクにとって、寂しい限りである。


「そんなに周りの目が気になる?」

「…バカな事を言ってくる奴らがいるから…」

「む…誰だい、それは」

「誰って…知らない奴。しかも言ってくる事が大抵的を射ているから言い返せない」

「…一体何て言われたの」

「まあ…卑猥な内容の事を」


学校の宿題をしながら話していたスザクの手が止まった。ばき、とシャーペンの芯が折れる。


「…」

「スザク、口だけ笑ってる。目が怖い」

「はは…俺のクラウスにセクハラか…」

「スザク、一人称が『俺』になってるよ」

「あ、ごめん、驚かせた?」

「いや、別に。ただ暴走しないかなあって」

「大丈夫だよ!……多分」

「…不安だな」


クラウスが苦笑いした。


「スザク」

「ん、何?」

「…私も、スザクの居る軍宿舎に移ろうかな」

「えっ!?でも、クラウスは…この家が大事なんだし…」

「うん…手放すつもりは無いし、管理はきちんとしようと思ってる。その…スザクの近くに、出来るだけ居たいんだ」

「クラウス…」


思わずときめいたスザク。クラウスはかなり自立した性格なので、こうして甘えを見せられると嬉しい。


「スザクが、ずっとここに居てくれたらな」

「…なんか、クラウス今日可愛いね」

「はあ…それはどうも」


スザクは勉強を止めてクラウスの隣に座った。腰に腕をまわすとクラウスはスザクにずるずるともたれかかった。


「スザク」

「うん?」

「…好きだよ」

「僕は、愛してる」

「…はずかしい」

「クラウスは?」


にやにやしながらスザクはクラウスに尋ねた。クラウスは冗談で不機嫌な表情を作ってスザクの鼻をつまんだ。


「ふが、なにふるの、」

「…ふん」

「いひゃい…照れ屋ひゃん」

「……」


クラウスはスザクの鼻をつまんだまま、スザクにキスをした。息が出来ない、とスザクが身振りで訴えるとやっと解放して貰えた。


「クラウスのS!」

「イタズラじゃないか」

「ひどいなあ…」


けたけたとスザクが笑う。拗ねた振りをしている恋人が愛らしかったから。


「大好きだし、愛してる」


クラウスはしばらくしてから唐突にそう言った。スザクは「ありがとう」と答えてクラウスを抱きしめる。

先の返事に随分時間がかかったのは、クラウスが恥ずかしくてごまかした為にタイミングを見失ってしまったからだろう。スザクはそれがわかっていたから実はずっと待っていたのだ。


「ほんと、変に意地っ張りだよね、クラウスって」


くす、と笑うとクラウスがまた不機嫌そうにスザクの髪を引いた。





休日はのんびりしたもんです。

2008/08/24(Sun) 23:08

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