涼宮ハルヒの憂鬱【短編】

□ことの始まり。
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今日の部室はやけに寂しかった。
感情的な意味じゃなく、人口密度の意味だが。
長門は委員会と言っていたし、愛くるしいメイドさんはハルヒに連れ去られていってしまった。
というわけで、この暑苦しいなか部室に居るのは、俺とエンドレス笑顔な優男だけだった。

「今日は静かですね」

部室にはオセロのパチ、パチという硬い音しか聞こえない。

「まぁ、台風がおらんしな」
「おや、そのようなことを言っていいんですか?」

ちょうど俺が5マスとったところだった。
というか、こいつは毎度毎度負けているような気がする。

「どうしてだ」

古泉はふぅっ、と息を吐いて、

「涼宮さん、あなたのこと気に入ってますからね、かなり」
「・・・は」

暑さで脳まで溶けたかと心配になった。
いや、そこまで心配はしていないぞ。

「と、いうか・・・正直、涼宮さんと長門さんと朝比奈さん、誰に気があるんですか?」
「古泉・・お前何言ってんだ?」

いつのまにかオセロをやる手は止まっていた。

「僕にとっては大事な問題なんです。真面目に、答えてください」

古泉の目は笑っていなかった。

「何、言って・・・別に誰も気にならん。普通だ」
「そう・・・ですか」
「なんだ、古泉、気のあるやつでもいるのか?」

ないだろうがな。

「・・ええ、まぁ・・」
「・・本当か?」
「・・・はい」

俺は断じてミーハーな女子になったわけではない。
違うぞ!

「・・・誰なんだ」
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