【や ら な い か】

□いけない☆委員長
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名前/加賀夏彦(カガナツヒコ)
身長/172cm
体重/60kg
学年/高2

所属/弓道部・クラス委員長



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自宅通学とは言え、委員長と言う立場上幾度と無く訪れた事のある学園内の寮へと足を踏み入れる。
慣れた足取りで真直ぐ階段へと向うと、静まり返った寮内にコツコツと硬質な靴音響かせ、目的地である3階を目指して。

夕暮れ時の寮内は、うっすらと明かりが差し込むのみで、蛍光灯の灯らない廊下はどこか寒々とした空気が漂っているようで。閉鎖された空間に辟易するのか、小さく嘆息してはゆっくりと歩を進めて行く。


「………」


漸く辿り着いた扉の前に佇むと、部屋のプレートを一度確認してから徐に鞄の中から、プリントの入ったクリアファイルを取り出すと小さく舌打ちを。
額に掛かる前髪を鬱陶しそうに一度振り、気を取り直すと拳を握りコンコンと丁寧なノックをひとつ。

部屋の主が室内に居るのは分かっている。
先程ここへ来る途中、部屋の窓からその姿を確認しているからだ。
ノックから暫くしても聞こえない返事に苛立ちを覚えながらも、もう一度ノックを。


「おい、御堂…居留守使うな。居んのわかってんねん、担任に頼まれてプリント預かって来たから…早よ開けろや。俺の用事終わらんやん。…俺はな、お前と違って暇ちゃうんやから」


いつまでも返答の無い扉の向こうに向かってぶっきらぼうに告げては、相手が出て来るまで嫌がらせのようにガツガツと扉を打ち続けて。
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