学園

□居眠りは悪です
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「はあっ!席替えぇ!?」

黒板に書かれた「席替え」の文字にうつらうつらしていた元親は飛び起きた
今、LHRの時間はたしか担任が進路についての話をしていた筈だったのだが…一年の自分達にはまだまだ先のことと居眠りをしていた
だが起きてみれば黒板には進路の事はまったく書かれておらず、代わりに新たな席順が生徒達の手によって記されていた

「ちょ…何で起こしてくれなかったんだよ元就!」

隣で関心無さそうに黒板を眺めていた元就に、寝ていた自分が悪いのだがそんなことは棚に上げ早口に問い正す
しかし、やはりと言うべきだろうか
元就は明らさまに不機嫌な表情を浮かべそっぽを向いてしまう

「我は何度も起こした。起きぬ貴様が悪いのだ」

ピシャリと言ってのけ再び黒板に目を向ければ、一瞬にして不機嫌な表情が一変して眉間のシワが消える
その様につられて視線の先に目を向ければ当然席順があり、良く見てみれば元親は一番前の列に、元就はそこから離れて後ろの列にいた
ハッとし再び元就に視線を向けるとワザとらしい笑みが口元に浮かべられている

(テメェ…ぜってぇ起こしたって嘘だろ!?)

などと反論しようものなら機嫌を損ねられるのは勿論、鉄拳かビンタが飛んでくるのは目に見えている
それだけは避けたく、元就には反抗することが出来なかった

「おい浅井!変えるなら皆が起きてる時にやれよ!俺ぁ納得出来ねぇ!!」

元就に反抗出来ないのならばと怒りの矛先はクラスの学級委員、浅井長政に向けられる
そんな元親の理不尽な反論に黙っていれるワケがない長政は教卓をバンと叩き元親を指差す

「貴殿のそれはただの我が儘だ!授業中に寝ている貴殿が悪い!」

「それでもクラス全員を平等に扱うのが正義だろ!?テメェいつも悪だの何だのって言ってるクセによぉ!」

「なっ…!?きき貴様っ!!」

争っているレベルはかなり低俗なものだが本気で言い争う二人の雰囲気がクラス全員に突っ込みの隙を与えなかった
ただ一部の生徒達を除いては

「Hey元親、俺元就の隣だぜ?」

「某も元就殿の後ろでござるよ!」

「おっ俺も就ちゃんの近くだ」

「俺様も就ちゃんの近くだ。まあ旦那の隣なんだけどねぇ」

「はあっ!?何でテメェ等だけ元就の近くなんだよ!!」

元親以外の普段のメンバーは元就の近くに密集しているようでどうにも納得いかないと元親の理不尽な怒りは更に大きくなっていく
それに伴い政宗や幸村達も激論を始め席替えどころではなくなってしまった

「黙れ貴様等!!席替えごときで騒ぐでない!!」

「授業中に騒ぐのは悪だ!罰として席替えは中止だ!各々席に戻れ!!」

学級委員と生徒会長の一声で教室はシンと静まり返り、同時に授業終了を告げるチャイムだけが皆の鼓膜を緩く揺らした

END
 
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