学園
□己は変わらない、君は変わった
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ここん所毎日同じ夢を見る
今と全く違う世界が目の前に広がってて
視界に飛込んで来たのは彼奴に似た緑色
「貴様ごときに我が負けなどせん」
低くて冷たい不機嫌な声も、人を安易に殺せてしまいそうな鋭い目付きもそっくりだ
「オメェ…独りで寂しくねぇのかよ?」
唯、今の彼奴と違うのは─
「寂しいって一度でも思ったことねぇのか?」
「黙れ、黙れ黙れ黙れぇーっ!」
底無しに暗い、感情を消し去った瞳
今にも壊れてしまいそうなボロボロの身体
そんな奴を俺は
殺シタ─
死ぬ間際に見せた奴の顔が頭から離れない
怒り、悲しみ、憎しみ
そして己の背負っていた使命から解放され安堵し流す涙
見ている俺の胸が張り避けそうに感じた
─彼奴に似た奴の名前は──
「…い……おい、何時まで寝ている気だ。さっさと此所から出ていけ目障りだ」
聞き慣れた声に夢から引きずり起こされると不機嫌な表情で俺を睨む元就と間近で目が合った
体を起こし辺りを見渡せば此所は生徒会室
そういや元就の仕事が終わるまで此所で待っとくことにしたんだっけ…
「まったく…貴様の顔を見ていると仕事に身が入らんのだ…っ!?」
夢の中とは違い光の差した瞳に安心して俺は元就を抱き締めた
元就には抱擁なんて必要ねぇだろうが、今の俺には必要だった
彼奴とは違う、しっかりと元就の存在を感じる為に
「っおい!貴様…っ」
「ワリィ元就。少しこのままでいさせてくれねぇか」
「っ……」
そうだ
今は夢の時代とは全く違うんだ
互いに愛し合える現代
敵同士じゃねぇ
いつでも側にいてやれる
「好きだ、元就」
夢みたいな悲しい思いはさせねぇ
テメェも
救ってやりたかったよ
毛利元就
END