短編小説

□死の直前 (キリバン432)
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まだ死にたくない。

もっと生きていたかった。

もっと一緒にいたかった。






「・・・レイくん、まだ・・大丈夫・・・?」

僕のすぐ近くに姉さん・・・ユウちゃんがいる。

だけど地震の揺れで、家が壊れて僕とユウちゃんは
 
その下敷きになっている。

「う・・、うん、まだ・・・大丈夫」

「よかった・・・」

近くにいるけれど姿が見えない。

どうやら僕は、両目をやってしまったようだ。

「だけど・・・、だけどもう・・死んじゃうんだろうな・・・」

その言葉の意味はよく分かった。

こんな所へ誰も助けになんかこないというぐらいは。

「でもね・・・、死んだあとも会えたらいいね・・・」

そう言って頭をそっと撫でてくれた。

だけど力がほとんど感じられなかった。

いつも静かにしていても、もっと力はあったはずなのに・・・

そう思っている内に、また揺れだした。

さっきの揺れよりも遥かに大きかった。

「れ、レイくん・・・!きゃああああ!!!」

「ユウちゃん!!!」

ユウちゃんの叫び声が聞こえた。

だけど何も見えない僕にはどうすることも出来なかった。

その直後、僕の上にまた何か大きなものが落ちてきた。

「うっ・・・、ユウ・・ちゃん・・・・」

助けたいけど何も出来ない僕が嫌になってきた。

すぐそこでユウちゃんが苦しんでいるのに・・・

「ごめ・・んね・・・何も・・・・出来なくて・・・」

ユウちゃんの声が薄っすらと聞こえた。

そしてまた揺れた。その揺れはまるで、僕とユウちゃんを、
死に誘っているかのようだった・・・

「僕も・・・何も出来な・・くて・・・ごめんね・・・・」

今僕に見えているものは、このあとに待っている死だけだった。

























































































あとがき

キリバン432で、「ユウレイのシリアス小説」と
拍手であったので、インフルエンザですが頑張りました。
私は地震で2人は死んだと思っています。
だけど、他にもいろいろ考えはあるんですがね・・・
ちなみに、キリバン432を取った方のみ、お持ち帰りOKです。
その際には、何か一言お願いいたします!

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