お題
□大切なただの幼馴染み
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眼下で激しく燃えている屋敷。
煙が空に上がっていく様を見る。
この任務は、抜け忍達が企んでいた木ノ葉の襲撃に関する巻物を取り、抜け忍達を殲滅すること。
この者達を数日間追跡していた彼女の部下が突き止めたものだ。
本来ならその部下が最後までするのが普通だが、抜け忍達の中には忍界に名前を轟かせた忍もいたため、普通の暗部では荷が重い。
そのため、部下の上司である白華に任せられたのである。
最初は火が屋敷に次々と移っていたのが、今は炎に包まれている。
その様子を見て、千夜はこの炎が周囲にある草木に移る前にと水遁を使い火を消す。
「やっぱりお前だったか」
「ナルト…」
火が完全に消えたのを見届けると、帰るために踵を返そうとした瞬間、背後から声が掛けられる。
その声に後ろを向くと、そこにいたのは暗部の姿をしたナルトの姿。
暗部名ではなく本名を呼ぶと、彼は小さくため息をつく。
「そっちで呼ぶんじゃねぇよ」
「誰もいないからいいでしょ?」
「お前……昔からそうだな」
呆れた様子の彼に千夜は笑う。
ナルトの言葉からも分かるように、二人は幼馴染みだ。
物心ついた頃には既に一緒にいたため、生まれた頃から一緒にいたと言っても過言ではない。
「任務行く時は一言俺に言えっていつも言ってんだろ」
「だって三代目から任務内容が書かれたを渡されたのは昼休みだったからナルトは近くにいなかったし」
確かに、よく任務行く時は言うように言われていた。
だが、本人は傍にいないし彼がいる気配を探って言いに行く時間なんてなかったから、仕方ないだろう。
それはナルトも分かっているからあまり文句は言えない。
だが、もし何かあった時のことを考えると、任務の場所を知っていれば帰りが遅くなった時に火影の元へ行って聴きに行かなくてもすぐに様子を見に行くことが出来る。
そうすれば、救援要請が来ていた時でもすぐに駆けつけれて間に合う。
「じゃあ次からは残した影分身にでも伝言させろ」
「…ふふっ、分かった」
何だか過保護な父親みたいだ。
思わずそう連想してしまい、小さく笑う。
そんな千夜にナルトは頬を緩める。
「…お前は、俺が守ってやるよ」
「じゃあ私はナルトを守る」
守ると言ってくれた彼に千夜は笑みを浮かべてそう言う。
とても大切な幼馴染み。
だからこそ、この手で守りたい。