お題
□君が異性に変わってゆく
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お互いを守ると誓い合ってから数日。
ナルトには任務に行く時に必ず言うようにと言われているため約束は守っているのだが、千夜には破ったことになるような気がした。
それは、大したことではないから命の危険はないものの、現在進行形で少しばかり身の危険を感じているからである。
と言うのも―――。
「なあ、お嬢ちゃん。その荷物持ってやるから俺等とお茶しようぜ」
「ですから、さっきから言っているように大丈夫です。だから貴方達とお茶をする必要はありません。……それに、"お嬢ちゃん"とお茶をする時間があるのならその身を磨かれた方がいいのでは?」
絶賛ナンパされ中なのだ。
さっきからこのやり取りから先に進まない。
穏便に済ませようと思っていたのだが、飽きてきた。
しかし危害を加えられていないのにこちらから攻撃を仕掛けるのは彼女の方針に反する。
だからわざと相手を怒らせる言葉を口にして挑発した。
卑怯だとか何とでも言えばいい。
こちらとら知りもしない奴に時間を割くほど暇じゃないのだ。
「ああすまないね、お嬢ちゃんと言ったことに怒っているのかい?」
「綺麗で可愛い子にはついそう言いたくなるんだ、そう怒るなよ」
だが怒るどころか宥めるようなことを言われてしまった。
こういう輩は短気で単細胞だと認識していたが、彼等は違うようだ。
何ともめんどくさい。
苛ついている千夜は舌打ちしたくなった。
今の彼女は元の姿ではなく暗部の白華の姿。
外見年齢は18歳くらいで、大人になりそうな子供という中途半端な位置だから"お嬢さん"が正しい。
こっちの姿の方が重い物を多く持てるため変化したのだが、失敗だった。
最初に声をかけてきた20代前半の男は例に違わず頭が悪そうなのに対し、もう一人の30代間近くらいの男は頭が少し回るだけでなく身の丈にあった紳士さだから厄介だ。
まともだから嫌悪感が少ない。
こんな男と一緒にナンパなどせず普通に働いていれば彼女くらいできるだろうに。
好みではないがもったいないな、と思う。