お題

□大切なただの幼馴染み
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とある日の午後。
アカデミーでは昼休みの時間だ。
昼食も終わり、千夜は木に背を預けて木陰でのんびりとしているところだった。

葉が風に吹かれて擦れる小さな音が聞こえる。
瞳を閉じて聞くと、長閑な空気に心が安らぐ。
少し開いた窓から微かに教室から賑やかな声も聞こえてきて、思わず口元が緩む。
忍になるためにここにいるのに、このまま穏やかな時が続けばいいと思っている何て可笑しいだろう。

……いや、



バサッ



「伝達鷹。……任務か」


忍になろうとするどころか、既に暗部である自分がそんなことを願うなんて―――。

小さくため息をつきながら立ち上がり、鷹の足に結ばれた紙を解き、広げる。
それが足から取られるのを見ると、鷹は千夜の肩に止まった。

鷹が肩にくる小さな衝撃を感じながら、内容を見る。
場所等を確認すると、ポケットからペンを取り出して文末に了解の了を書き、肩にいる鷹に視線を移す。

それが意味するものを悟り、鷹は翼を小さく羽ばたかせると彼女の目線より少し高い位置まで上がると、そのままを維持する。
そんな彼の足に来た時と同様、紙を結ぶ。


「よろしくね」


こちらを真っ直ぐ見る鷹に千夜は笑みを浮かべ、少し高いところにある彼の頭を撫でる。
一撫でされ、彼女の手が頭から離れると鷹は空へと舞い上がった。

その風に千夜の長く綺麗な黒髪が揺れる。



ピーーー!



一声鳴き、手紙の主である火影がいる火影廷へと向かう鷹の姿を見送ると、千夜は印を結び影分身を一体出す。
そして代わりに午後からの授業を受けるよう頼むと、変化をする。

―――純白の腰まである髪と、碧色の瞳。

それは、暗部副隊長 白華の姿。
日の光に反射して透き通る薄緑の瞳を隠すように白華は暗部の面を被り、その場から姿を消した。



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