お題

□熱中症なりかけ
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「ただいま……って、はぁ!?」


任務から帰ってきたナルトは驚きの声を上げる。

理由を簡単に言うと、家の中がえりえないくらい暑い。


「(一体何があったんだ……!?)」


靴を脱ぎ捨て、慌ててリビングに入る。


「千夜……!!」


リビングに入ると気を失っている千夜がいた。この暑さだと当然だろう。
ナルトは部屋中の窓を全て開け、風を取り込んだ。

気を失っている千夜に駆け寄り、額に手をやる。


「(熱い……)」


この暑い中いたせいで体温が上がっている。

タオルを冷水で濡らして絞り、額にのせる。


「………ん」

「千夜」


冷たいタオルが意識を取り戻させたのか、微かに声を漏らした後ゆっくりと目を開ける。

少し顔を動かすと心配そうな顔をしているナルトがいた。


「大丈夫か?」

「…うん」


小さく頷いた千夜を見てほっとした表情になり、ナルトは口を開いた。


「こんな暑いのに窓閉めるとか何やってんだよ」

「ぁ……」


言われて自分がしていたことを思い出した。



どうしよ、理由言ったら絶対怒られる……!!



内心冷や汗を流す千夜。
黙ったところで理由を聞かない性格でないことは嫌というほど分かってる。

数分悩んだ結果、諦めて千夜は口を開いた。


「………ナルトが任務に行った後、まだ眠くて寝てたんだけど…」

「?」


それが今とどう繋がるのか分からなかったが、何も言わず黙って聞く。


「途中、網戸から入ってきた風で肌寒くなって目が覚めて、窓を閉めたの」

「………」


その言葉で話の展開が読めてきたナルトは「まさか…」と声なき声で呟いた。


「でもそれでも寒かったから全部閉めたんだけど、そしたらこうなってて……」


まさしく予想的中。
呆れて何も言えないというものである。


「はぁ………」


ため息を一つ零し、ナルトは千夜の額を軽く指で弾いた。(所謂デコピンと言うものである。)


「痛っ」

「何してんだよ馬鹿」

「……ごめんなさい」


てっきり怒られると思っていたので軽い痛みのデコピンで済んだことに拍子抜けしたものの、心配させてしまったことに対する落ち込みは減らない。

ひょい、と千夜を抱き上げて寝室に行き、ベットの上へと優しく下ろし布団をかける。


「暫く寝てろ」

「はーい…」


ちゃんと返事をした千夜を見て踵を返し、ナルトは部屋を出て行った。


「ったく、心配させやがって……」


寝室のドアの前で安心と笑みを混ぜた顔でそう呟き、禁術書を読むためにナルトはリビングへと向かった。



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