沈む、黒い色
□何も無い世界に見つけた幸せ
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生きて生きて生きて、今までどんな事があろうとも死なずに生きてきた。
他人が助けを求めてきてもわたしは見えないフリをして通り過ぎようとした。そんなわたしの足首を掴んで助けを求めてきたのもいた。それでもわたしはそいつ等の為に足を止めることはしなかった。それも全て、我が身可愛さ故に。でも今、そのツケがやっと、回ってきたみたいだ。
視界が歪んできた。何で、とか色々考える暇も無く、それは益々酷くなっていく。
わたしはこのまま死ぬんだ、とかまた色々とネガティブな事を考えている自分に気付く。いけないいけない、すぐ考え事に没頭してしまう。考え事の前に今この状況を分析しろ、自分。
「――おやおや」
人間の、声がした。
一瞬幻聴かと疑ったが振り返るとちゃんと人間はそこに居た。いや、人間じゃないかもしれない、と非現実的なことをわたしに考えさせるほどに男は、圧倒的な存在感を放っていた。
「無様ですねえ、貴女は」
そう言って男は嘲るような目でわたしを見た。わたしはそんな事全然気にならなくて、それよりも男の美しい紅と蒼のオッドアイに惹きつけられた。
「・・・あなた、は、だれ?」
「死にかけの人間に名前を教える趣味はありませんが・・まあいいでしょう。僕は六道骸です」
「六道・・むく、ろ」
六道骸・・・
思い出した。六道骸は、裏世界で結構知れ渡っている名前。・・まあ、わたしは興味なかったからこれくらいしか知らないけど(それでも知らなさ過ぎ、かも)
でもなんでそんなご大層な男がここに・・?
「僕の自由ですよ、僕がどこに居ようが」
「え・・」
「顔に出てましたよ」
そうなのか、とか思ってるうちに六道骸はやたらとわたしに近づいてきた。なんだか少々近すぎる気がするのは、わたしの気のせいなのだろうか?いや。絶対これは近い。世界が歪んで見えるわたしにも六道骸の顔がはっきりと見えるほどに六道骸は近づいてきていた(つまり、超至近距離)
「君はこの世界に生きて、幸せ、でしたか?」
「しあわせ・・・」
今までを思い返してみる。だが、幸せだと思った事が一度も無かった(ひとつぐらいはあるだろうと思ったのに!)そもそも、幸せなんて個人がただ幸せか不幸せかを曖昧な基準で決めているだけで、そこに真実なんてない。あ、また考え込んでた。
「しあわせだったのかしら」
「・・さあ?興味ないです」
「ならきかないでよ」
「いいでしょう、僕の勝手です」
「そうね・・、じゃあ」
何も無い世界に見つけた幸せ
あなたを好きになってもわたしの勝手よね
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2009/01/06
わ、なんか訳分かんないのが出来た!
こんなのですみません・・><