外から聞こえる雨音に強制的に感覚が覚醒する。
指先を動かすのさえ億劫だ。全身が鉛になった様な重い体を捻り枕元の時計を覗く。


「…まだ……5時」


ホッ
と脱力して。
喉に絡まり掠れる声に泣きたくなる。

一角はいつの間にか居ない。指先で彼の温もりを探すが、帰った事を知り寂しい思いと安堵する気持ちがせめぎ合う。
忘れたくて抱かれて。隊長に気付かれるのが怖いから…帰ってくれてホッとするなんて。

なんて自分勝手で。
最低な女。
優しい一角を利用していると自覚はしている。それでも

もう
待つのも
待たされるのも

寂しいのも
辛いのも


「……嫌だよ」


雨が止まない。

シトシトと優しい雨音に包まれて。
訪れた微睡みに逃げ込む。


「…寒…い……隊長」

眠りに落ちた乱菊の瞳から透明な滴が溢れ、頬を滑り落ちた。






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