のぼせてグッタリしといる神田をそっとベッドに横たえて。
水を口移しで与える。足りないと甘えた様にクロスの唇を舌でなぞる。
意識が朦朧としているからこその行為だろうが、それでも可愛くて。餌を与える親鳥の様にただ与えるだけの口付けを落とす。
満たされたのか、
コトリ
と。
神田は眠りに落ちた。規則正しく動く薄い胸板を見詰めて、ホッとする。
かなり無理させたからな。
執着の印は消えても、疲れまでは消えないらしい。
当たり前の事だが。
一糸纏わぬ美体を毛布でくるんで。部屋の温度設定を上げる。
髪が半乾きだ。
風邪でもひかせたらコムイに何を言われるか分かったものじゃない。
安らかな眠りに落ちたその美貌を見詰めるために傍らに腰を下ろして、煙草に火を付ける。
長い睫毛が持ち上がれば、また別々の生活が始まる。
黒の教団に所属する限りは、二人の道が交わる事はない。
意識して脱線する以外は。
離したくない。
叶うならば、嫌がっても抵抗されても、閉じ込めて誰にも触らせたくない。
あらゆる事柄から神田を守りたい。
それが例え抗えぬ
運命(死)
からでも。
ガラスケースに閉じ込めて。毎日毎日、ただ肌を合わせて。
優しく優しく甘えさせて。
俺なしじゃ一秒も居れないくらい、どっぷりと溺れさせたい。
それはとっても甘美な絵空事。
しかし
本当に出来ない事か?
その日。
クロスは神田を連れて。教団を出奔
…………した。
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