人間失格〜81番の記録〜

□何度も目が覚める
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窓の外から、始発の音が聞こえてきた。
カーテンの隙間から外が明るくなってきたことが伺える。

あぁ・・・朝だ。

朝になってしまった。
と言っても、仕事が終わってから3時間程しかたってないが・・・
あの人は、まだ帰らない。
当たり前だ。
今日も遅くなるだろう、先に寝よう・・・。

もしかしたら帰ってこないかもしれない。

そんな日もある。付き合いだってあるし・・・。
仕方の無いことだ。
わかってる。わかってるのに・・・。
マンションの廊下に足音がする度反応する。
どんなにうとうとしていても、一気に目が覚めてしまう。
淡い期待・・・。
何度がっかりしても、学習をしない体。

早く・・・帰ってきて・・・

今日もいっぱい、お店の女の子と喋ったんだ。
楽しそうに笑って・・・。
体を見ることだってあるんだ。
仕方の無いこと。
だって、彼はセクキャバのボーイさんなんだから。
仕方の無いこと・・・。
私だって・・・お客さんと・・・
だから、こんなこと思ったらいけないんだ。

寂しい何も考えたくないはやく眠りたい。
眠っても、眠っても、外の小さな音にも反応して目が覚める。
扉を開く音を待ちわびて・・・

何日も何日もそんな日が続いた。
気が狂いそうだった。
いっそのこと、別々に住みたいとも思った。
こんな思いをするくらいなら・・・

どうしてあの人は、私の心をいっぱいにするの・・・
他のことが考えられないくらいに頭がいっぱい。
どうして私ばっかり・・・

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