SILVER:

□SILVER:Ver.生
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俺らの、関係



表向きは教師と生徒

秘密だけど、恋人同士でもある


1番近くにいれて、大切にされて


嬉しいはずなのに、お前に誰かが触れてると胸が痛くなる



俺って我が儘?






***



廊下を進んで、"英語科準備室"と書かれたドアの前で止まる

さっきの情景が頭を過ぎるが、振り払って深呼吸


少々顔が熱いのは、この際無視するとしよう



意気込んでドアノブに手をかけたが、いきなり中から開いたせいで、内側に倒れ込んだ

「うわぁっ…!!!」



床と顔面キスかと思いきや、ぽすんと柔らかい感触
消毒液の匂いが、鼻の奥を擽った



おそるおそる顔を上げれば、オッドアイが俺を迎える

「おやおや、すみません。人がいるとは…」





――六道骸

雲雀と同じ時期に来た保健医
いつも柔らかい笑みを絶やさず、紳士的で生徒に人気

だけど、俺はちょっと苦手かな


この不思議な色の瞳に見つめられると、なんか心の奥まで見透かされてるみたいだから



「あっ、わりぃ先生。俺も気付かなかったし」

「いえ、怪我はありませんか?」

「おぅ、へーき。先生居たから」

「それは良かったです」




そう言って、女子生徒なら即倒しそうな笑顔を見せる

やっぱ、人気あるの頷けるわ


「…ちょっと。いつまで抱き合ってるの」

「えっ…へわっ!?」



べりっと引きはがされて、今度は雲雀の腕の中

不機嫌さが滲み出ている雲雀は、鋭く目の前の奴を睨んでる



「クフフ、良いじゃないですか。減るものではないでしょう?」

「君に触られると、何かが減る」

「おや、手厳しいですね」

「ふん…。だいたい、その胡散臭い顔をこの子に見せないでくれる」

「ふふっ…、すみません。これは癖でして」

「…ホントめでたい奴」



俺を無視して、頭上で火花が散る
なんか酷くなりそうで、雲雀のスーツの裾をきゅっと握った


「……獄寺??」

「雲雀ぃ。…そろそろ止めようぜ?」



実は俺、雲雀の弱点知ってたりする


斜め下(と言っても、身長差で元から下だが…)からの上目使い
ちょっと甘えた声を出せばイチコロだ



なんでこれが効くかは分かんないけど、雲雀はこれに弱い
間違えた。めちゃくちゃ弱い



今だって、さっきの雰囲気はどこへやら

ふたりの視線が俺に向いてるのは痛いけど、大人しくなった


「ほら、なんかするんだろ?プリント…だっけ?」

「…あぁ、そうだね。――そういう訳だから、君邪魔。さっさと出てくれる?」




先生には悪いけど、早く済まして雲雀と話したいし

…こうでもしないと終わらなさそうだったし


「……クハハっ!!流石の貴方も、これには弱いんですね」

「煩い。さっさと消えて」

「クフフ…。これ以上いたら、本当に咬み殺されそうなので、そろそろ」

「御託はいいから」



それでは。と部屋を出ようとした先生が、思い出した様にこっちを振り向いた


「そうでした。――…隼人君おめでとうございます」

「なっ…!!」
「えっ…??」



「クフフ…。雲雀恭弥、お先に」


呆気に取られてる俺らの前でもう一度微笑んで、向きを変え去って行く背中



何だったんだ。と雲雀を見れば、苦虫を噛み潰したような顔をしていた


少々抱きしめられてる腕の力が強くなった様に思う


「っ、せんせぇー苦しい」

「あぁ、ごめん…。じゃあ僕らも帰ろうか」

「えっ!?プリントは?」

「君が来るまでに終わらせたから。ほら、行くよ?」



放課後で誰もいない廊下
手繋ぐなんてあんまりしないのに、今日は珍しい

なんか、心臓もたねぇよっ


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