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「…で、そんな六道先生が俺になんの用?」


そう問えば、間を開けて押し殺した笑い声が聞こえた



「……んだよ」

「いえ、ね…。ただ少し、サボっている生徒を注意しようと思いまして」

「ふーん…。注意して聞くような奴だと思うか?」



横に座る人物を見遣り、挑発的に嘲笑ってやった
俺のサボりは、今に始まった事じゃない



「クフフ…。そうは思わなかったから、こうしてお話ししてるんです」

「……はっ?」


言われた意味が分からず、ポカンとしていると、細い手が延びて来た

それは俺の髪を、擽る様に撫でる









――ドクン、






なんか、嫌だ
こいつに触られるのは

あいつに、雲雀に触られた時は嫌じゃなかったのに




そう思うと、体が勝手に動いていた


「っ、触んなよ!!」



パシン
乾いた音が響く

紅と蒼の瞳が、驚きで少し見開いた
だがそれも一瞬で、すぐに余裕のある顔に戻る




「本当に、似た者同士。ですね…」

「えっ…」

「いえ、なんでもないですよ」

「なんだよ…。気になるじゃんか」



多分、何回聞いてもこの男は教えてくれないのだろう

それが少し悔しくて、拗ねた口調になってしまう



「…おや、来たようですね。それではこれで」


どこまでも自由な奴だ
いきなりそう言ったかと思うと、問う間も与えずすたすたと去ってしまった


「何なんだよ、マジで…」


一体誰が来たというのか
その答えすら分からぬまま、長い髪を揺らしながら遠ざかって行く背中を、半ばぼんやりと見ていた




―――その時、

ガツンと、頭に凄い衝撃が走る
鈍器とかバットで殴られたかと思ったが、手元に転がって来たのは缶ジュース

多分、いや絶対。
俺の頭にクリティカルヒットしたのは、これだ


それを涙を溜めた瞳で一瞥して、こんな事をしてきた野郎を捜す



くっそぅ…
見つけたらただじゃおかねぇ!!!

頭を摩ると、調度当たった辺りにこぶが出来ていた
たいした痛みはなかったが、それでもむかつく物はむかつく


「ってーな!!誰だよ、んな事したのッ」

「僕だけど。……文句ある?」


俺の潤んだ視界に入って来たのは、雲雀恭弥
不機嫌そうに細めた瞳の奥が妖しく光る




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