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「名前は雲雀恭弥
新任だからって舐めたマネしたら


――咬み殺すよ」





ゴクリと喉が鳴る
ぶつけられたのは、本物の殺気



辺りに満ちたなんとも言えない緊張感
指を動かす事さえ億劫になる



みんな次のあいつの言葉を待っている
この間を早くどうにかして欲しかった







「―自己紹介は此処まで
授業に移るよ」




その声に殺気は含まれておらず、幾分緊張が解けた



パラパラと教科書がめくられる
あいつが何か言ってるが、当初の目的(名前)が分かった俺には、授業なんてどうでもよかった


頭はもう寝る体制
うとうと下がる瞼は仕方ない






机に乗せた腕を枕にして、睡魔に身を委ねようと瞼を完全に閉じた











――ガッ!!



脳に直接くる鋭い痛み
ぐいと持ち上がった顔に、髪を引っ張られていると理解した







――あいつに





「ワォ
始まって早々寝るのかい
……いい度胸だね」





(やっべぇ…)



冷や汗が背中を伝う
逃げる事なんて絶対出来ない




(なっ、殴られる…!!)




ぎゅっと目をつぶって衝撃が来るのを待つ
しかし、それは何時になってもくる事は無かった





「仕方ないから…」



その言葉に過剰反応
ゆっくりと瞼を上げた




「今日は此処で見張っとくよ」


「はぁ?!
…なんでだよっ!!」


「君が寝ない様にだよ
文句ある…?」



「う゛っ


ない、です…」




「そう

じゃあ、教科書・ページ――――…」




睨みに押されて反論なんて出来るはずがない
いまだ俺の髪を掴んで平然と授業を進めて行く




つか、黒板使え黒板

何なんだよこいつ
調子狂うぜ…





悔しいから、教科書読んでるこいつの顔を見上げてやった





伏し目がちな瞳
長い睫毛
整った鼻立ち







――絡まる視線







途端顔が熱くなる
ドキンと脈打つ心臓





(なっ、何だよ一体…)





自分で解らないこの感情にオロオロしてると、くすりと笑われた







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