SILVER:
□※SILVER:Ver.聖夜
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『SILVER:』番外編になります
設定は同じですが、本編とは分けて考えて下さい
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「ねぇ、24日は予定あけといて。」
「へ?なんで??」
「………それくらい分かりなよ。」
「……えっ?ちょっとまっ!!…っん。」
「普通一緒に過ごすでしょ。……"恋人"なら、さ。」
「〜〜っ!!……分かってるってば。」
(楽しみにしてるからな。)
そう言って、自分からは珍しく、あいつの頬に唇を寄せた。
あれから、一週間。
今日はちょうど終業式の日で、怠いながらも長い式に出席していた。
まぁ、半分寝てたんだけど。
そういや、校長の長い話は、あいつも嫌いだって言ってたな。なんて思っていたら、黒の瞳とばっちり目が合った。
一瞬、笑むように瞳を細めて、人差し指で唇を、とんとん、と示す。
(えっ、なに……)
唇の動きだけで、相手が言わんとしている事を当てるのは大変だ。
だけど、いつも言われている言葉なら、少し違うのかもしれない。
(…あ・い・し・て・る……、っ!!!)
あぁもう、最悪だ。
せっかくちょっとでも起きとこうと思ったのに。
これじゃあ、ずっと寝たフリしとかねぇと駄目じゃん。
冬の体育館は寒いはずなのに、俺の周りだけ、すごく暑く感じた。
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式が終わって、教室で成績表が渡されて。
暇だなー。なんて廊下を歩いてたら、拉致られた。
何処にって?
――あいつの車の中。
ご丁寧にシートベルトまでしてくれて、マジで至れり尽くせり。
「……じゃなくて!!!」
「いきなりなに?運転中は静かにしなよ。」
「…おぅ。……って!なんで俺拉致られたんだよ!!」
「わぉ。拉致だなんて、人聞き悪いね。」
ちょうど信号で停まって、くるりとこちらを向いた顔が、何て言うか……いつもと違っていて。
あまりにも優しく笑うその表情に、惹かれて目が離せなくなる自分がいる。
ふわり。頭に左手が置かれて、俺の髪を撫でる。
「ねぇ。本当に分からないの?」
「えっ……。なに、」
「なんで連れていくか、分からない?」
「……記憶にねぇ。」
「本当に?」
ホントは分かってた。
だけど、少し抵抗してみたいわけで。
今日の体育館での事に対して、仕返しっていうのじゃないけど、困らせてみたかった。
「…きす。してくれたら、おもいだすかもよ?」
「………ナマイキ。」
ぐい。と頭を引き寄せて、額に落とされる唇。
すぐに離れて、髪をぐしゃぐしゃと掻き混ぜられた。
「うわっ…!なにすんだよっ!!!」
「ナマイキな君に、お仕置き。」
反論する間も与えず、ハンドルを握り直して前を向いた横顔に、うっすら笑みが浮かんでいるのを見て、なんだか無性に恥ずかしくなった。
(うわー。なんで俺、あんなコト言ったんだよ!)
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