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おもしろい、と思った
僕が人に興味を持つなんて、今までなかったのに


なんだか無性に、僕だけのモノにしたくなった



だから
――少々手荒な事、しちゃうよ…?











***



「…と言う訳で今年から本校に入る事になった――」


マイク越しの校長の声
長ったらしい紹介を受けながら、静かに息を吐く

前を見れば、ざっと数えて1000人弱の生徒
その殆どの(特に女子)生徒の視線が痛い程に突き刺さる



舞台の上には、僕を入れて6人が椅子に座らされていた
全員が大学を卒業したばかりの、言わば教師に成り立てという者ばかり
なんでも若い人材を集めたらしい




それにしても、異様なこの着任式


生徒達はざわざわと落ち着きがなく、出来れば早くこんな所から抜け出したい気分だ




仮にも義務教育を受けたのなら、もう少しマシな行動をしなよ


"一応これは式だから"と、一度は堪えたがそろそろ限界
隣に座っている奴の椅子でも蹴り飛ばしてやろうかと、下がり気味だった視線を前に戻す



「……?」



上げた視界に少しの違和感を感じた
気になって、目を凝らし見てみる


体育館中央
堂々と椅子の上で膝を抱えて、眠りこけている生徒が一人


顔は見えないけど、制服から男子だとわかった
式中に寝ているだけで目立つのに、更に目を引くのはその髪



そこら辺で騒いでいる女子生徒の様に、人工的に染めたものなんかじゃなく、綺麗な銀色


そういえば、2学年に銀髪の不良がいるとは聞いていた
名前は確か、獄寺隼人

銀髪と言われたから、てっきり染めているのかと思えば…



(成る程、ね)


実際には遠くからでも判る程自然な色
風がサラサラと彼の銀を揺らす


暫く見ているとやっと起きたのか、大きな欠伸をひとつ
眠たそうな目を擦るその姿に、自然と笑む

――猫みたい








興味を持ったとすれば、多分この時

式も終わり舞台から降りた後も、捜してしまうのはさっきの彼



笑ってしまう程簡単にいっそ呆気なく、"目が離せなくなった"この瞬間







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