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□日常
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(ツナ視点)
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ある日のこと。
獄寺君が、オレと山本に勉強を教えてくれる事になった。
場所は何処にしようって話になって、とりあえず図書室に決定。
放課後、オレは掃除当番。
山本は部室に用事があるって事で、獄寺君だけ先に図書室に行ってもらった。
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西日が眩しくなってきた頃。
ばたばたと階段を駆け上がり、図書室へと急ぐ。
「うわーどうしよう!結構時間掛かっちゃったよ…!!あの見回りの先生厳しいんだから!!」
此処まで走って来たせいか、息もだいぶ荒い。
今日に限って来てしまった教師に悪態をついて、3階へと続く階段を上った。
「もう、2人とも始めちゃったかなー??……喧嘩してなきゃ良いけど。」
なぜか、あの2人は馬が合わない。
山本にそんな気はなくても、獄寺君にとっては気にくわないみたいだ。
静かにしなくてはいけない図書室で、喧嘩をされてはかなわない。
なぜか最終的に、オレが怒られる羽目になるから。
その事を思うと、疲れてはいたが、小走りに目的地を目指した。
「やっと着いたー……。」
学校の設計は、もう少し考えてしてほしい。
やたら多い階段に、長い廊下というのは、体力を削られるだけだ。
図書室の扉の前に立って、荒い息を整える。
深く深呼吸して、ノブに手をのばした、その時――。
「おまっ…!!なにして……!」
(……………ん?)
微かに聞こえた、獄寺君の声。
一瞬、もう喧嘩を始めたのかという考えが、頭を過ぎる。
でもそれは、喧嘩しているというものじゃなく、妙に色っぽくて、焦っている感じだった。
(えっ……。ちょっと待て、やまもとぉ!?)
今、図書室の中に居るはずなのは、獄寺君と山本なのだ。
なにを血迷ったか、オレの頭には、獄寺君を襲っている山本が浮かんだ。
(山本!駄目だよ!!獄寺君は、獄寺君は……!)
どうにかして、自分が止めなくては。
そしてあわよくば、無かった事にしなくては。
衝撃的な場面ではあるが、友人を助ける為に、もう一度ドアノブに手をのばした。
ガチャガチャ...
(……あれ??鍵が掛かってる…。)
となれば、絶体絶命。
もしかすると、自分にまで危害が来るかもしれない。
いや、絶対来るだろう。
(だって獄寺君は、……あの雲雀さんの……。)
そこまで思って、冷や汗がたらりと流れる。
咬み殺されている自分を想像して、あぁ年明けは病院かな。なんて、半ば諦めた。
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