□HONEY×HONEY
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「隼人。……あ〜ん」

「あ〜んっ…?!」






---HONEY×HONEY



ある晴れた昼休み。

突如、俺の口に無理矢理押し込められたそれ。


カラコロ、カラコロ
左右の頬を行き来する。



人間とはなんとも面白い生き物で、差し出された物を条件反射の如く食べてしまう。

そしてその後に、多くは後悔してしまうのだ。




…そりゃ、口を開けたのは俺なのだけれど。
珍しく嬉しそうな顔で、「あ〜ん」とか言って来た雲雀に見とれたのだけれど。


それでも、これは酷い。



「――うげぇ…。ひばり!!てめぇわざと俺の嫌いな味食わしただろッ!!!」




そう。押し込まれたのは、俺の嫌いなハッカ味。

スゥスゥと咥内に広がる感覚は鳥肌ものだ。



涙目になりながら、俺をこんな目に合わせた張本人を見遣る。

そいつはと言うと、黒革のソファーに脚を組んで座り、にこやかにこっちを見ていた。



「隼人。食べ物粗末にしちゃ駄目だからね」




…全部食べろって事か?!

いや、無理無理!!!
ただでさえ、そろそろ限界なのにっ!!



涙目で雲雀を睨むと、「しかたないね」なんて言って俺を手招く。


何となく、これからする事が分かった気がした。
すぐ前まで来て躊躇ってると、極上の笑顔で見つめられる。


「隼人、……おいで」



――ドクン。
胸をきゅうっと締め付ける低音。

それに顔を赤くしながらも膝上に乗り、向かい合う形で座る。
雲雀の肩に手を置いて、ゆっくり距離を詰めた。


鼻先が当たる程近くなる。
すぐ目の前は宵闇の瞳。
雲雀の吐息が、俺の唇を擽った。



意を決して、合わせる唇。
薄く開いた口に、飴玉を押し込んだ。


「んぅっ…、ふぁ//」


時折舌で飴玉を押し返され、その度に立つ水音が羞恥を煽る。
ぎゅうっと握ったシャツに、深く刻まれる皺。


どれだけ、そうしていたのか。
飴玉が、最初よりも大分小さくなってきた。
頭に酸素が行かなくて、くらくらする。





とろり

口端から流れた液体を雲雀が舐め取った。



ふたりの間を行き来していた飴玉は、今はもう雲雀の口の中。
がりがりと砕く音を、ぼんやり聞いていた。



「ごちそうサマ」

「うっせ…//恥ずかしい事させやがって!!!」

「フフ…、ごめんね。代わりにコレあげるから、機嫌直してよ」



コロンと俺の口の中に入ったのは、さっきより一回り大きい飴玉。




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