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□ユアボイス
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「んっ…きつ。…隼人、締めすぎ…ッ」
「あッ、うぇっ…ごめっ」
「大丈夫だから。泣かないでよ…」
「だっ…だって、分かんねぇんだもんっ」
「隼人がしてくれるんでしょ?」
「そうだけど…っ///」
「じゃあ、優しくしてよ」
「そんな事言ったって…」
「――駄目なの?」
「わ…分かった!!するから!!耳元で喋るなよっ///」
「やだ」
「ちょっ…、おまっ!!」
「だって、君が早くしないから暇なんだよ」
「んっ…///ホント、喋るなって」
「いいじゃない。――それより、早く…」
「ひぅっ?!…ばかぁ!!///」
「もう、じれったいよ」
「あ…っ」
細くて器用な指が、するりと俺の手中からネクタイを奪う。
ちくしょう。
見せ付けるみたいに、綺麗に結びやがって…!!
いつも自分で締めているであろうそれを、俺がしてあげたいなんて思ってしまったんだ。
――だって、
ネクタイ見るたんびに思い出すだろ…?
俺が、締めたんだ・って。
雲雀に触れたり、目が合うだけでドキドキする。
なんかそれが、俺だけの気がしてちょっと悔しかったからなんだけど…。
「結構難しいんだな…」
「慣れれば簡単だよ」
「つーか、いつまで耳元で喋るんだよっ!!///」
「さぁ?…どうだろうね」
…にゃろう
さっきだって耳舐めやがって…!!///
「くすっ…。次はちゃんとしてよ?」
「…??」
「ネクタイ。結んでくれるんでしょ?」
「…っ!!おぅ///」
あぁ、なんか上手く乗せられた気がするけど、多分…
練習、するんだろうな。
なんて思った、ある晴れた日の朝。
*おまけ*
「そういえばさっきの、気をつけてよ?」
「さっきの…?」
「"ひぅっ"って声」
「…なんでだよ?」
「気付いてないんだ。君、凄く色っぽい声してたんだよ」
「……はっ?」
「耳、感じやすいんだね」
「……えっ。…うわっ、その///」
「――僕以外に聞かせちゃ駄目だから」
なぜか、その言葉が無性に嬉しかった。
独り占めしたいのは、俺だって一緒だっつーの。
(言われなくとも)
悪戯っぽく笑む雲雀の耳に唇を寄せて、そっと囁く。
――当たり前、だろ…?
END
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