§§§


くだらないネタとか、浮かんだ言葉とか。



*
◆あやかと雲雀 




しんしん、と。


はぁ、と濃い白い吐息が冷えた空に溶けていく。
空からはあやかが身につけている白いコートと同じ色をした、

「さむ……」

暖冬と言われた去年とは違い、今年は積雪がある程雪が降った。
今も止む事なくちらちらと降っている。


「あ、足跡ついてる」

あやかが踏み締めた足跡が広い校庭に続いていた。
誰もいない並盛中の校庭にはしんしんと降り続ける雪に音を吸収され、他の気配は何一つない。

白い世界に一人残されたかの、ような。


「あやか」
「……きょう、や?」

誰もいないと思っていた校庭に凜、とした声が。
足跡を眺めていたあやかはその声に振り返り、小さく首を傾げた。

「何してるの」
「……散歩、だよ。恭弥こそそんな薄着で何してんのさ」

並盛中の風紀委員長、雲雀恭弥があやかの目の前に立っていた。
冬だというのに肩に纏った学ランの下にはシャツ1枚で平然としている。

吐き出す息は、真っ白なのに。

「足跡が、」
「へ?」

「足跡が見えたから。」

雲雀の指差す先にはあやかの足跡が続いている。ぱちりと瞬きをして、薄く笑った。

「だから出てきたの?ダメだよ、風邪ひいちゃうよ」
「そしたら君が面倒見てよ」

強請るようなその声にあやかは小さく笑い、伸ばされる手を取って雲雀の住み処でもある応接室へと歩き出した。

二人の後ろには、並んだ足跡、が。



白い世界に二人なら、それはきっと、




―――――
たとえ取り残されても、

2009/01/09(Fri) 20:52

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