派&灰&野

□YOU GOD FATHER
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パシッ



「もうっ、何してるのよ神田」


コムイの妹、リナリーだ。どうやら神田を止めてくれたらしい。


「助かった……サンキュ、リナリー」
「………チッ」



舌打ちして立ち去ろうとした神田の肩を掴んで、ラビは笑った。




「一緒に任務に行くことになったラビっす。ハジメマシテ」



その時の嫌そうな顔といったら、2年経った今でも忘れられない。























「すげェさー!黒の教団ってだけでこんな豪華な部屋貰えんの?」


汽車の特等室、ラビの言葉に返事は無い。
室内にはラビを含めて3人いる。神田と、探索部隊のダグだ。彼には先程手痛い言葉を貰った。




『君の目はガラス玉みたいだね。僕を映しているけど、それは反射しているだけで、中には何も届かない』


肯定なんて馬鹿なことはしなかったが、否定はできなかった。


ブックマンの使命を受け入れて10年。人間には失望してしまった。

人間なんて、戦うだけの愚かな種族。くだらない理由でいがみ合い、死んでいく。人間の戦いを見るたびに、心の中で騒いでいた何かが消えていくのを感じ続けていた。

適当に笑って仲良くして、記録を終えたらさよなら。“記録者”にはそれで十分過ぎるほどだ。



「……寝よ」

今更なことを考えていても仕方無い。せっかく静かなのだから、たっぷりと睡眠を取らせてもらおう。教団に入ってから記録作業ばかりでほとんど寝ていない。
座ったまま目を閉じ、そのまますぐ寝た。









「…神田、彼をどう思う」


静かに寝息を立てるラビを一瞥し、ダグが問う。



「今までのやつらと変わらねェ。いけ好かねェ野郎だ」

間髪無く答える神田に、ダグは苦笑した。彼はいつもこうだ。




「…でも、僕も彼は気に入らないな。あれほど嫌な目は初めて見たよ」



ダグの言葉に反応するかのようにラビが唸ったが、それだけだった。




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