派&灰&野

□YOU GOD FATHER
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「へえ、これでカンダって読むのか」


ラビの手には、エクソシストの名簿。本来は持ち出し禁止だが、ブックマン(次期継承者)権限で借りてきた。

今目を通しているのは[神田 ユウ Kanda Yu]と銘打たれた書類。確か日本では後の方がファーストネーム、どうやらユウが名前のようだ。





「どんなや「ユーくーん!!」



叫び声が、聞こえた。




「何さァ?」


声のする方向へと駆けてみれば、4人のエクソシストが騒いでいた。




「神田、謝れ」
「嫌だ」
「神田が謝んねェと師匠泣き止まねーじゃん」
「嫌だ」
「ううっ…ぐすっ…ずずっ……」
「汚ェんだよ!」
「アイツが神田ユウか」



ティエドール元帥は知っている。どうやら師弟らしい。喧嘩でもしているのだろうか。
触らぬ神に祟り無しという言葉を聞いたことがある。ラビは傍観することにした。



「親子でハグしていってきますの何処が嫌なんだユーくん!」
「まず親子じゃねェしハグとか気持ち悪ィしその呼び方はやめてくださいって何度言ったと思ってやがんだ!」
「神田、ここは諦めてハグしてやれよ」
「そうだぞ神田、一瞬だからいいだろう」
「五月蝿ェ」
「あ、もしかして照れてるのかい?ユーくんったら恥ずかし「とっとと逝きやがれ変態オヤジ!!!」



物凄い音と共に、ティエドール元帥が飛んでいった。
死にはしないだろう、多分。




「さてと……ユーくん!」







何気ない冗談で呼び掛けてから仲良くする。よく使う手段のひとつだ。しかし、





「ああ゙?」
「ひっ……?」

神田の眼差しはあまりにも強かった。ラビは思わず身を震わせた。



「探索部隊が…調子に乗んじゃねェ!」


神田が抜刀した。彼の刀は六幻。書類が正しければ、イノセンス。
神田は躊躇うこともなく、ラビに六幻を振り下ろした。

「ギャー!え、マジで?誰か助けっ…」



救いを求める声は、途中で切れた。無意味と悟ったからだ。
周囲の探索部隊や科学班はもちろん、兄弟弟子らしい2人まで余所を向いている。わかりやすく言えば、見捨てられた。




神田の動きは早い。しばらくは避けられたが、少々切られるぐらいは覚悟した。





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