派&灰&野
□YOU GOD FATHER
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『ラビのイノセンス、鉄槌っていうんですか?』
『ん?コムイから聞いたんさ?』
『いえ、リナリーから。それにしても東洋風ですね。確かあの判に書かれてるのも漢字でしたよね?』
『日本で見つけたイノセンスだからじゃねェの?』
『そうなんですか?』
『オレの初仕事で見つけたんさ、すげェだろ?』
そして、時間は2年前に遡る。
「ラビ、君はブックマンと違って適合者じゃない。だから探索部隊として動いてもらうよ」
「リョーカイ」
額には黒いはちまき、両耳にはピアス、首には赤いマフラー、右目には眼帯、さらに大して似合っていない探索部隊のコートを纏っているのは、先日入団したブックマン次期継承者、ラビ。
「初仕事だから、わかりやすく説明させてもらうよ。今回はエクソシスト、神田君のサポートが仕事だよ」
「カンダ?変わった名前だな」
教団に入ってまだ2日と経っていない。団員の名前を覚える余裕なんて無かった。
「日本人だよ。そして、今回向かってもらうのも日本だ」
「ああ日本人ね。ああ……はあ?」
日本人、それならば何という字が当てはまるのだろう。ぼんやり考えていたが、次の言葉には声が裏返ってしまった。
「日本って…初仕事にしては遠いような…」
「うん。でも急げは1ヶ月ちょいで帰ってこれるよ」
「1ヶ月!?」
1ヶ月も記録作業ができないのか。
「日本に出島っていう唯一の海外交流が許されている島があるのは知ってるかい?」
「まあ……」
「そこに探索部隊を紛れ込ませておいたんだが、どうやらイノセンスが見つかったらしくてね」
「へえ…」
「持って帰って貰おうにも日本には何故かアクマが多くてね」
「AKUMAか………」
「だからー…」
「お迎えよろしくってことか?まあ、できるだけ上手くサポートするさー」
文句は言わない。ラビは笑顔だった。
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