フと、かつての友に会いたくなり東京へ向かった。
まず、それが間違いだったのだ。
俺は、北海道から一度葉に連絡をいれた。
今日炎に行く、と。
葉は分かったと言っていた。
言っていたはずなのに…
民宿『炎』には1人の赤ん坊しかいなかった。
しかも、赤ん坊は葉のところの子──花ではない。
どうみてももう1人の友の子だ。
テーブルの上には置き手紙。
『葉
俺の息子を預ける。
今日の夕刻までには迎えにくる。
あとは任せた。
蓮
』
達筆な字で書かれた置き手紙。
やっぱりこれは『蓮』の子供か…
置き手紙の下にはもう一度の紙があった。
それは俺宛に書かれたもの。
『ホロホロへ
オイラ用事ができた
蓮の子をよろしく
葉
』
ふざけんな!!
コイツは人をなんだと思ってんだよ。ああ、俺はなんと間の悪い男なのだろう。ここまで悪いと賞賛したくなる。