派&灰&野
□YOU GOD FATHER
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「コムイのやつ、面倒な仕事押しつけやがって……」
そう悪態吐く神田の前には、大量のアクマ。全てレベル1のようだが、キリが無い。
……何故、日本にこれほどのアクマがいるのか。それはまだ、2年後の話だ。
「チッ…六幻、災厄招来!界蟲一幻!」
神田が六幻を振ると一線の光が生まれ、その光から数匹の蟲が飛び出した。
無数の爆発音、アクマが破壊されているのだろうか。
「頑張ってんなー…」
ラビの周りにはダグと現地の探索部隊が数人。神田が囮になってイノセンスを回収する作戦だ。
「なあ、大丈夫なのか?」
「少なくとも君よりは頼りになるよ」
ダグは相変わらず冷たい。ラビは苦笑し、特殊な保護ケースに入っているイノセンスを見た。
黒い槌。どうやら全て鉄で出来ているようたが、普通の槌と変わった点は見られなかった。
「これを教団で加工すんの?」
「ああ、適合者が現れたらな。といっても、この原型なら少し手を加えるだけで良さそうだ。とりあえず此処で待っていれば神田が来るから……」
現地の探索部隊のひとりが頷き、ケースを持って立ち上がった、次の瞬間
彼の首が飛んだ。
「なっ…」
アクマだ。ケースを持っていた探索部隊はアクマのウイルスにより身に纏っている物以外は灰と化した。
ケースが宙に舞う。
叫びそうになったダグを押さえ、ケースを手に取り、駆け出す。逃げなければ。
他の探索部隊の駆ける音が聞こえ、ラビはそっと息を吐いた。
「イノセンス…ミツケタ……」
「コワサナキャ…」
「伯爵ノ…タ…メニ……」
アクマが3体、ラビ達を、正確にはラビ達の持つイノセンスを探している。
ラビは物陰からアクマを伺った。はちまきが無い。何処かに落としたか。
「きっつ……おい、大丈夫さ?」
ダグを除く探索部隊は頷いた。ダグはただ顔を伏せている。
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