08/10の日記
02:44
もしも夢主が赤ちゃんだったらその1。
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その赤ん坊は、空から降ってきた。
甲板で昼寝をしていたベポが発見したらしい。
この子、天使かもしれない…と深刻そうな面でおれの元へ連れてこられた赤ん坊はベポの腕の中から無表情でこちらを見つめていた。
無表情の赤ん坊…なんつーか、不気味だ。赤ん坊ってのはきゃっきゃきゃっきゃと笑うもんだろーが、と思ったおれは傍にいたシャチにおい、この赤ん坊を笑わせてみろと無茶振りをする。シャチは困ったような顔をしたがベポの腕から赤ん坊を受け取った。
「ほら、いないいない、ばぁ!」
「おぎゃあ!!」
変顔で赤ん坊を笑わせようとしたシャチだったが、赤ん坊はシャチの顔が気に食わなかったのか、それとも別のことが気に食わなかったのか…シャチにビンタを食らわせた。そう…躊躇なく、的確に。なかなか筋がいい。と感心するおれとペンギンにシャチは涙目でなにこの赤ん坊こわい!!と喚いていた。やめろ、野郎の涙目なんざ気色悪いだけだ。
「何騒いでるんですかせんちょ……どうしたんですかその赤ちゃん、まさか、船長の隠し子?」
「かるたか。おれの隠し子なわけねぇだろうが。…空から降ってきたんだと」
「空から?」
シャチの騒ぎ声に気付いたのか、うちのコックであるかるたが船内から出てきてシャチの腕の中にいる赤ん坊をじっと見つめた。さっきまで無表情だった赤ん坊は何故か笑顔でシャチの頬をべしべしと攻撃している。なるほど、天性のSってやつか。
「可愛いですね、名前は?」
「名前?わかんねーから赤ん坊でいいんじゃね?」
「おぎゃあ!!!!!」
シャチの提案はお気に召さなかったらしい。赤ん坊は再びシャチの顔面に強烈なビンタを食らわせた。
赤ん坊、は気に食わないのか。だが…身につけているものにも名前らしき文字はない。…ふむ。
「……レディ。」
「はい?」
「今日からお前をレディと呼ぶことにする。いいな、レディ」
「おぎゃあ?」
赤ん坊、いや…レディは不思議そうに首を傾げている。気に食わないという反応があれば別の呼び名を考えるところだが、この反応ならレディでもいいだろう。
「って、船長!?この赤ん坊、船に乗せるつもりですか!?」
「あ?海に捨てろっていうのか?おれはそこまで外道じゃねぇ」
「いや、捨てろとは言ってませんけど!!」
次の島で降ろすんですよね!?海賊船に赤ん坊なんて…!危険ですよ!?と喚くシャチ。だが、何故かおれはレディを降ろそうとは思わなかった。空から降ってきたという不思議な赤ん坊、筋のいいビンタ、そして、無邪気な笑顔。……遠い記憶の中で笑う亡き妹の姿が浮かび、おれはレディの頬に触れた。
「おれと来るか?レディ」
「おぎゃああ?」
「その意見に全力で賛成したいです、船長」
「船長!?かるた!?ペンギンは反対だよな!?」
「おれは船長に従う。レディ、お腹は空いてないか?かるた、ミルクはあるか?」
「すぐ温めてくる、待っててくださいね、レディ。すぐ美味しいミルクをお持ちしますからね」
「おい!!すでにメロメロじゃねーか!!おれこの子にビンタされたんだけど!?」
「強くて逞しい女の子だ。いい海賊になるだろうな」
「ペンギン、お前実は子ども好きだったりする?」
ツッコミに疲れたのか、げっそりとするシャチを労わるようにレディが小さな手でシャチの頬を撫でる。
シャチはこの子なに、ツンデレなの?お兄さん落ちそうだわ。と言いながらレディの頬をつついた。
「レディ、お前は今からおれの船のクルーだ。おれの名はトラファルガー・ロー。この船の船長だ。言葉を話せるようになったらまずおれの名を呼べ。いいな?」
「おぎゃあああ?」
クルーになるんだな!よかったなレディ!と喜ぶベポと状況を理解出来ていないであろうレディ。次の島で育児の本を漁るか、とぼんやり思いながらシャチからレディを受け取りペンギンにクルーを食堂へ集めろ。新しい仲間を紹介する。と指示してレディを抱きながら食堂へ足を進めた。
*** *** ***
補足
空から降ってきた謎の赤ん坊、レディはきんぎょひめ及び大海の金魚姫の夢主さんです。こちらはもしも夢主さんが赤ちゃんだったら、というTwitterで呟いたネタを文章にしたものです。名前変更はないのですが、お付き合い頂けたら嬉しいです。
ハートの海賊団のコックさんが登場しました。こちらのキャラクターは奏のTwitterのお友達、あさりさん宅の夢主さん、かるたちゃんをお借りしております。
最近文章書いてなくてですね、いつも以上にグダグダですがリハビリとしてもしも赤ちゃんだったらシリーズ、書いていこうと思います。よろしくお願いします。
奏
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