夢処
□夢か現か
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眠れ無ぬ夜には
貴方の名前を呟きませう
「ハァ…」
無気力感に襲われる身体に溜め息が出る
携帯片手にうなだれている姿は…
人から見たらきっと、メンヘラに思われるのかも知れない
ここが自室で良かったと、少し頬が緩んだ
「ハァ…」
今何してるとか
逢いたいとか
そんなメールを送りたい衝動に駆られながら、今現在の時間を確認する
「3:38…」
流石の貴方でも寝ているかな…
そう思い、携帯を充電する
「何で寝れ無いんだろ…」
明日は仕事休みだから良いんだけどね
暗闇の中、手探りでリモコンを探しTVを点ける
「何もやって無い…」
変わらない画面や詰まらない番組
何となく消すのも怠いので、視力が落ちそうな画面を見続ける
「…ねむ…」
その行動は少なからず今の自分にプラスになっていたらしく、軽い眠気が襲って来た
(ぁー…寝れそぉ…)
TVを点けたまま、ベッドに入り瞼を閉じる
〜♪
不意に鳴った携帯
ディスプレイを見なくても相手は分かる
寝てるだろうと予測していた、貴方指定の音楽
『今から行く』
嗚呼…
タイミング良いのか悪いのか…
何故か先程まであった無気力感も眠気も無く
携帯を握る手だけがリアルな感触を伝える
『何分で?』
もう少し
可愛らしい返事をすれば良かっただろうか…
ぃゃ…別に良いか
こんな時間に電話して来る方が悪い
『10分』
…いやに早いな…
近くにでもいるのだろうか
『分かった』
それだけ言って電話を切る
一体コイツは何をしていたのだろうか…
…来たら訊けば良いか…
携帯を閉じると、先程まであった眠気を愛おしく思う
何故急に消えたのだろうか…
まぁ…
10分もすれば分かるだろう
眠気が消えたのは癪に障るが
私にとって嬉しい事この上ない
貴方からの電話が
夢か現か
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