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□溺れる恋
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土方は、真選組屯所で煙草を吸っていた。



満月が少し雲に隠されている。


「チッ」


土方は、イライラしていた。最近高杉が会いに来ないからだ。
相手は、指名手配犯なのだから真選組にしょっちゅう出入り出来ないのは、当たり前なのだが、最近よくない噂を耳にした。


一週間前、街を巡回してたら新八が声をかけてきた。

「土方サン」


「んっあぁ、お前は、万事屋の…」

「お久しぶりです。」

「そうだな。万事屋の野郎は元気か?」

土方が問うと新八は、困った顔をしながら言った。

「そのことなんですけど…」

「どうした?」
いつもと違う雰囲気に土方は戸惑いながらも聞いた。

「最近、包帯の男が銀さんの所によく来るんですよ…」
新八は、周りに聞こえないように小さい声で言った。


「包帯の男…?」
土方は、心当たりがあったためドキッと胸が高鳴った。

「はい。それが指名手配されている攘夷志士の高杉にそっくりで…」
新八は、壁に貼られていた高杉の指名手配書を指差して言った。

土方は、バットで頭を殴られだようなショックをうけた。
「土方さん?」
急に黙ってしまった土方の顔を新八が覗き込んだ。

「大丈夫ですか?」


新八の問い掛けにも答えず土方はフラフラと歩き始めた。
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