短篇小説『蒼白』

□神頼み
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神頼み



・・・・・

平和すぎるこの国の昼下がり・・・

十八年程この国に住んでいるが・・・最近程穏やかな日常は今までに無かった・・・

・・・まあ、俺が記録通り十八年前に生誕していたならばの話だがな・・・



そんな日・・・学校が終わり、ボーっと歩いていたら・・・





「・・・ここは・・・?」





道に迷ってしまった

失態・・・を通り越して・・・これは醜態だろう・・・

俺は周りを見渡す・・・

何も俺の知っている物が無い・・・



この虚しさ・・・



・・・フッ・・・

自分で自分を呪いたい・・・

所詮俺も一つの人という存在・・・

失敗は犯すだろうが・・・これ程下らない事をするとは・・・




「・・・・・」

少しショックだった・・・

陵桜に転校以来、のうのうと生きていた成果がこれかもしれん・・・

昔に比べ注意力散漫、集中力の欠如、記憶力の低下・・・

俺とした事がどんどん落ちぶれているように思えて仕方が無い・・・

「ハァ・・・」

つい溜息が出る

あの幼い頃からの苦労が水疱と帰していく・・・

あの時の信念は何処に行ってしまったのだろう・・・

既に逝ってしまったのだろうか・・・

「ハァ・・・」

肩を落としながら歩く俺の姿は、周りから見ればさぞ滑稽に見えた事だろう・・・

そうに違いない・・・俺は駄目な人間だ・・・

環境が変化しただけで何故こうも変わってしまったのだ・・・

俺は・・・




一時間後・・・

何とか駅に着く・・・

糟日部駅に着いた時、俺の脳は起動していないのと大差無い・・・

何も考える事が出来なかった・・・

「・・・・・(ブツブツ)」

怪しいヒト・・・




「れい〜!」



後ろから声が聞こえる・・・

・・・最近聞きなれた声だ・・・

後ろを向くと紫の髪を二つに分け・・・それを揺らしながら走って来る・・・

「かがみ・・・」

かがみの姿だった・・・
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