短篇小説『蒼白』

□守護すべきヒト、優しいヒト
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守護すべきヒト、優しいヒト


・・・街を歩くなどという事はほとんどと言っていいほど無い俺にとって現在の状況は正直自分でもよく理解できない

しかも休日・・・実に珍しい

何故今現在俺が外に居るかと言うと小早川さんに昨日、頼まれたからだった・・・



―「ちょっと一緒に行ってもらいたい所があるので・・・明日お時間ありますか?」



小早川さんの頼みを断ったら彼女は崩れてしまいそう・・・という勝手なイメージを持っている俺は断れない

暇なのだし、たまに外を歩くことはいい事だろう・・・

そう思って俺は今現在彼女と東京と埼玉の境の町に来ていた



「・・・・・」

休日のわりに人通りの少ない今日は、世間では絶好の買い物日和とでも言うのだろうか・・・

駅で待っていた俺の姿を見つけた小早川さんは躊躇する事無く俺の手を掴んで歩きだした

「・・・・・」

すでに十分ほど歩き続けている

彼女は最近あった田村さんの面白話を俺に続けている

・・・フッ

昨日も田村さんは現行の締め切りで憔悴しきっていたらしい

・・・俺は自分でもびっくりする位楽しく話をしていた

(こなた達に言われるような態度はできんな・・・この子には・・・)




「あっ!ここですね」

そう言って小早川さんが指さしたのは

「・・・同人ショップ「瑠璃琉璃」・・・」

見上げ見る看板には成人向けだのアニメ専門だの・・・こなたの好きそうな単語が羅列されている・・・

「えっと・・・ここの二階でこれを買ってきてほしいって、この間こなたお姉ちゃんに頼まれて・・・」

そう言って小早川さんは俺に紙切れを渡す

・・・百合・薔薇の世界・・・魔性の具足・・・

・・・・・

「田村さんにその事話したら先輩について来てもらった方がいいと言われて・・・それで先輩にお願いしたんです・・・」

・・・こなたの願い・・・俺がいないといけない・・・成人向けの店・・・

「小早川さん・・・俺は二階に行って購入してくる・・・君はここで待っていてくれ・・・」

「え?私も行きますよ?」

「いや・・・いい・・・ここで待っていてくれ」

俺は小早川さんに渡された紙を持って店に入った
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