短篇小説『蒼白』

□影に射す太陽
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影に射す太陽


・・・この学校には一つの学年に13ものクラスがあって、それだけ生徒数も凄い数になる

その生徒の名前を全部覚えている人などほとんどいない

居たとしたらよっぽどの物好きか記憶力を自慢したい人間位だろう・・・

だからほとんどの生徒は自分のクラスの人と他クラスの友人位しか覚えていない・・・

故に俺が行き来する教室は自分の3年B組と今向かっているかがみのクラス3年C組位だ

しかしその3年C組もほとんど行く事は無い

用が無ければ他教室に行く必要も無いし・・・それに3年B組の教室にかがみが来る事が多いから用があればそこで済んでしまう

・・・長々と話をしてしまったが俺は今かがみのノートを返すために3年C組に向かっていた・・・



〜3年C組〜

昼休み・・・

C組に着くと珍しくかがみはB組に来ず、教室の友人と食事をしていた

・・・一人は落ち着いたおとなしそうな女の子・・・

もう一人は・・・

「かがみ・・・昼食中悪いが・・・こなたが借りていたノートだ・・・」

俺はかがみに声をかけ、ノートを渡す

「あ〜・・・悪いわねれい 今度あいつに言っとくわ れいに迷惑掛けるなって・・・」

「別にいい・・・」

俺はそこで背を向け帰ろうとした



が、かがみの隣に座っていた人が箸を置き言い出した

「柊〜こいつ誰だよ〜?」

背中を突っつかれて俺は振り返る

見ると八重歯の日焼けした女の子が俺の背中をツンツンと突いている

・・・何だコイツ・・

「みさちゃん いきなりこいつなんて呼んじゃ駄目よ」

おとなしそうな女の子が言う

「ああ、そっか あんた達は知らないわよね・・・こいつは小手川れい B組の奴よ」

かがみが女の子二人に言う

「小手川君ね 私は峰岸あやの、柊ちゃんの友達よ 宜しくね?」

そう言って峰岸さんは頭を下げる

「へ〜こいつ柊の知り合いか〜」

もう一人の・・・ボーイッシュな女の子が俺をマジマジと見てくる

「みさちゃん!ちゃんと自己紹介して?」

峰岸さんはその子の相手をするのに忙しそうだ・・・

「分かったよ〜 私の名前は日下部みさお 柊とは中学から一緒だったんだゼ」

日下部さんはかがみの髪を弄くりながら言う

「あんたはまともに自己紹介もできないのか?」

かがみが呆れたように弁当を食べ続ける

「なあ、お前って髪長げえなぁ〜女みたいだぜ?」

日下部さんは俺の髪も一緒に弄び始めた

「失礼よみさちゃん」

峰岸さんが日下部さんに注意するが聞かない・・・

「私はお前みたいに男のくせに髪伸ばしたりする奴は微妙だと思うな〜」

日下部さんが俺の方を指差して言う

「・・・そうか」

俺はそれだけ言って教室を出た

後ろから

「フンだ!気に食わねえな〜」

と日下部さんの不満そうな声が聞こえる

・・・・・何か迷惑をかけたのだろうか・・・
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